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視点 オピニオン21
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群馬ダイヤモンドペガサス運営企画担当  三木 章次 (甘楽町金井)



【略歴】藤岡高卒。同高野球部外部コーチや社会人野球のオール高崎で選手、監督、副部長を務めた。2008年に群馬ダイヤモンドペガサスの運営会社に入社。


高校野球という教育



◎大事な場面で精神の力



 野球シーズン真っただ中。そんな季節になり、わがペガサスもまずまずの成績で頑張っています。5月の福井遠征から連敗しましたが、選手の顔はNPBを目指す気持ちと野球ができる喜びでいっぱいです。大多数を占めている県外出身の選手も群馬の地にようやく慣れて、これからの成長に期待したいところです。

 今シーズン、球場に観戦に来ていただいたお客さまは気付かれたと思いますが、中学生ボーイズ・シニアの選手に球場内外のお手伝いをしていただいています。選手たちは、これからNPBを目指す選手の真剣なプレーを目の前で見て、刺激を受けていることでしょう。ペガサスの選手たちは手本となるプレーや行動を心掛けていかなくてはなりません。中学生たちには、今後の練習や試合の参考になれば良いと考えています。

 夏の甲子園大会県予選まで1カ月半に迫り、母校の様子が気になったり、懐かしんだりする人がたくさんいると思います。最近の高校野球では、県外への野球留学が盛んに行われています。彼らは名門校や強豪校の門をたたいて甲子園を目指すのですが、部員の半分近くが県外出身者という学校も少なくないようです。私が高校生のころにも野球留学はありましたが、今ほど盛んではなく群馬県内では数人でした。しかし、現在では50人以上の高校生が甲子園を目指しているそうです。果たしてこの現状が良いことなのか考える時期に来ているのではないでしょうか。

 私の高校時代の恩師は「高校野球はベースボールではなく高校野球という教育だ。高校野球は、野球以外にも学問・礼義作法・精神修業の場である」と常々言っています。技術の足らないところを精神力でカバーする。そんな一見古くさそうなことが、ここぞという場面で力を発揮するのが高校野球の魅力なのかもしれません。震災後、ボランティア活動などを積極的に行う学校がテレビ等に映りますが、地域の方々に理解される野球部を目指す姿勢には頭が下がる思いです。地域密着型のペガサスも負けられない思いです。

 先日、全国高校野球OBクラブ連合会「マスターズ甲子園」の話を聞き、母校に対する思いとOB会のつながりや活性化、そして、いくつになっても甲子園への憧れを持ち続けていることに共感しました。伝統校のOB会は、18歳から還暦世代までの会員が集い、母校の活躍を期待して声援を送るのです。そんな人たちが世代を超えて、もう一度母校のユニホームに袖を通して「甲子園を目指す」―そんな気持ちになれる企画をぜひともお手伝いしたいと思っています。私の母校、藤岡高校は統廃合により廃校となり、OB会も解散していますが、もう一度、母校や高校野球を考えるきっかけになればと期待しています。







(上毛新聞 2012年6月2日掲載)