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◎地域に緊急情報届ける 私が車の運転免許を取ったのは5年前。そのまた数年前、私は弊社放送局の取材のときには、自転車であちこち飛び回っていた。12月のとても寒い日だった。歳末特別警戒の取材で、地元消防団の詰め所を訪ねた。当時の消防団長は、私を見るなり「きのうの人、亡くなった」と私に言った。ショックだった。 FM OZEでは、行方不明者の捜索に関して24時間体制で放送をしている。もちろん火災や事故、警報等もである。試行錯誤しながらも緊急放送体制を整えている時期だった。 このときは、深夜に消防団長から電話があった。「行方不明の方をいま捜索しているんだが、放送頼むよ。われわれはきょうは夜中の12時まで探して、あすは朝4時から捜索を始めるから、あすもよろしく」と。早く見つかってほしいと願いつつ放送を続けたのだが…。残念ながら、川に落ちてからの発見となった。悲しい報告に泣きながら、自転車をこいで放送局まで帰ったことを思い出す。 痴呆症という名称が認知症と変わったのは2004年のころ。その少し前から沼田では「認知症やひとり暮らしの方のためのネットワーク」をつくろうと、ある認知症専門医と社会福祉協議会の方が中心となり、動き始めていた。 この方たちは、FM OZEが行方不明者に関して放送していたことを聞きつけ、協力を求めに来てくれた。そして、沼田市や地域の新聞店、コンビニ、タクシー会社など、関係各所の担当者がすべてこのすばらしい組織づくりに賛同してくれて、「認知症にやさしい地域づくりネットワーク」が05年に発足したのだった。 群馬県の「犯罪防止推進条例」ができたのも04年。その2年後、「沼田地区自主防犯パトロール隊連絡協議会」も結成され、沼田市では「安全なまちづくり推進条例」が施行された。 みなかみ町でも高齢者支援ネットワークができ、徘はいかい徊だけでなく、虐待・各種詐欺防止等の情報を伝えている。FM OZEでは現在「緊急告知FMラジオ」を導入し、昭和村・沼田市で活用していただいている。リアルタイムで「緊急のお知らせ」を電波を通して届け、安全安心なまちづくりを目指している。 人はひとりでは生きていけない。いろいろな情報を得て、いろいろな人にお世話になって生きている。お世話してお世話されて、迷惑をかけてかけられて、一生懸命生きている。そう、私は「地域のおせっかいな放送局」の一員として、地域は自分たちで守る! 地域は自分たちで創つくる! ということを常に忘れずに、これらの活動を継続していきたいと思う。 (上毛新聞 2012年6月18日掲載) |