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視点 オピニオン21
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NPO法人みんなの未来研究所代表  須永 徹 (太田市由良町)



【略歴】元ジャパンビバレッジ環境部長。定年退職後、2009年9月にNPO法人みんなの未来研究所設立。県環境アドバイザー、県地域づくり協議会委員。


面白いことの創造



◎一人一人が動きだそう



 ♪なんかおもしろい事ないかと夜汽車は走るのです…というのは、還暦を過ぎてますますパワーアップしている「最長寿のロッカー」遠藤賢司さんの1970年の曲ですが、今でも友達同士で顔を合わせれば、ついこんな言葉がお互いの口から出てしまいます。「何か面白いことないかねぇ」

 面白いことの創造は他人任せにしておいて、無責任な物言いのようにも思えます。面白いと思うことは人それぞれの興味の対象によって違うものですが、人が集まっていれば、そこには何か面白いことがあるのかと、さらにいろいろな人たちが集まってきます。そこでできたにぎわいをいかに継続していくかが地域活性化の最初の一歩ではないでしょうか。

 誰かが何かをやり出し、そのどこかに興味が持てたら、積極的にやる側として関わってみたらどうでしょう。その関わりに加わる人が多くなり、地域を中心とした人たちのつながりが大きくなればなるほど、それはやがて地域の文化となってその地域の活性化につながっていくのではないでしょうか。

 群馬県では今年4月1日に「群馬県文化基本条例」が施行されました。継承されている文化や新しい文化の支援をすると基本理念に記されています。最初から大上段に構えて文化を創造するなんていうことではないにしても、個人で何かを始めるとしたら、それはとんでもないパワーを要します。法律や行政の壁もあるかもしれませんし、参加した人間同士の好き嫌いや利害なども絡んでくるかもしれません。実行するための資金も重要です。

 実際にやりだしてからの障壁は意外なところにたくさんあるものです。しかし、始めてもいないのに「やっぱりできないや」と諦めてしまっては、せっかくの思いも埋もれてしまい、何ともったいないことでしょう。そういう時こそ仲間や友人、先輩たちの知識や経験、若い人の行動力などが役に立つと思います。

 まずは自分が何をやったら面白いと思うのか、それをやるにはどうしたらよいのかをイメージしてみましょう。それを友人たちに話して相談してみましょう。否定的な意見も出てくるかもしれませんが、賛同する人も出てくるはずです。一人一人が動きだせば、少しずつでも地域は活性化してくるでしょう。面白いと感じてくれる人が増えれば輪は広がり、やがてそれは地域になくてはならないことに育っていくのではないでしょうか。商店街のシャッターが開いていることだけが町の活性化ではありません。一人一人が自分の住んでいるところで面白いと思うことをやり始めることが、地域の活性化にとって大事なことなのだと思います。






(上毛新聞 2012年6月25日掲載)