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日本花の会 評議委員・花のまちづくりアドバイザー  
                         福田 具可
(中之条町西中之条)


【略歴】法政大経済学部卒。小中学校長、スクールカウンセラーを経て、ぐんまフラワーパークアドバイザーの会会長、ぐんま日本花の会会長、中之条町花の会会長。


花づくりと地域振興



◎住民が連帯郷土愛育む



 花のまちづくりの教育的効果について2回にわたり述べてきました。今回は、地域振興における効果・役割について触れます。

 (1)地域住民の交流・連帯感の高まり

 私が住んでいる地域では原則として、第1、第3日曜日を「花の里づくりを進める日」として、花の植栽や除草などの管理作業を行っています。作業終了後には茶菓子等飲食をしながら交流を楽しんでいます。今年3回目を迎えるやまゆり祭りは、そんな歓談の中から始まりました。また、町が行っている有害鳥獣対策事業として、森林の下刈り作業を行い、会の活動資金を得ています。

 このように、住民参加の花のまちづくりは、共同作業を通して住民同士の交流の機会が多くなり連帯感が強化され、地域の行事が活発になるなど地域コミュニティーの発展につながっているように思います。

 (2)郷土愛の育成

 私の地域の花の里づくりは、住民の協働で沿道200メートルにわたって、秋から春はパンジー、ビオラ、水仙等が、夏から秋にかけてはサルビアが彩ります。

 花のまちづくりを進める中で環境美化が図られ、潤いのある住みよい環境づくりが進み、住民は自分たちが住んでいる地域が好きになるなど郷土愛が育まれ、地域に誇りを持って生活することができるようになるでしょう。さらに、魅力ある郷土は、若者の定着につながるのではないでしょうか。

 (3)地域の活性化

 花のまちづくりを進める中で、珍しい花やきれいな花がたくさん咲くと町外、中には県外からも花見に訪れます。遠くから来られた人たちは「食事は近くでできますか、うまい物は何かありますか?」「他にどこか見るところはありますか?」などとよく聞かれます。そんな時には、近くの道の駅や町の交流センター、町内の温泉地等を紹介します。ですから、花見に来られた人たちは近くで食事をしたり、観光地巡りをしながらお土産などを買って帰られることでしょう。このように、花のまちづくりは、地域の活性化・観光産業等の発展にもつながるでしょう。

 (4)安全・安心のまちづくり

 地域での花のまちづくりは沿道での作業が多く、子どもたちをはじめ住民の動きも見えるので、防犯対策にもなり、安全・安心のまちづくりにつながっているように思います。

 (5)荒れた土地の有効活用

 日本各地には、休耕田や耕作放棄地が多く見られます。これらの場所を花のまちづくりに活用できたらと思います。私の地域では、荒れた土地を借りてサルビアやポピーなどを植栽して、「花の里」づくりに活用しています。







(上毛新聞 2012年7月4日掲載)