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視点 オピニオン21
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NPO法人「生きる塾」理事長  渡辺 謙一郎 (太田市新田早川町)


【略歴】太田市生まれ。樹徳高卒。小学生のころから障害のある人たちと過ごし、福祉への関心を高めた。防災士、日本メンタルヘルス協会認定カウンセラー、辺重社長。


震災復興と未来



◎今が一番の頑張りどき



 NPO法人「生きる塾」は太田市の協力を得て、石巻市の子どもたち30人を8月14日、ねぷた祭りに招きます。15日には太田市内を散策します。本番が迫っており、子どもたちをお預かりする緊張感と笑顔を見られるワクワク感が高まってきました。石巻の子どもたちと一緒に遊びたいという方、お待ちしています。また、太田市の防災フェアでも東北の方に来ていただき商品を販売します。こちらも多くの方のご来場をお待ちしています。石巻復興商品は道の駅おおたでも販売されています。みんなで日本をよくしましょう。

 気仙沼市で素晴らしいボランティアの友達ができました。その方々は復興支援で国から出ている助成金や補助金の申請を代行し、成果に結びつけるという活動をしています。私は感動し、お手伝いすることに決めました。国の補助金・助成金は、知識がないと個人で申請できるようなものではありませんし、そのような補助金・助成金があるという情報も住んでいる人に伝わっていないケースがあるそうです。従って、知らないうちに申込期限を迎えている補助金・助成金も多いと聞きます。そんなこともあり、被災地の復興はいっこうに進んでいないのが現状です。このほか、復興支援労働者もとても少ないようです。半年ほど前の「視点」でも書きましたが、さまざまな条件が合わないようです。

 現地の方々もゆっくりやろうという雰囲気になってしまっています。焦る心理状態を落ち着かせたい人はゆっくりで良いと思うのですが、一日も早く復興させたいのなら、もっとスピーディーに作業を進める必要があるでしょう。何度も言っていますが、民間がやる気を出さなければ進まないのです。福島もようやく本格的な除染が始まるようですが、何とか今までのようなミスマッチのないように進んでほしいと願っています。

 日本はこれからどうなってしまうのか。心配するのでなく、未来は自分たちでつくれると思います。私は自然エネルギーに賛成ですし、国の財政難に関しても、まず民間をやる気の出る状態にして、それが国の収入増につながるという考えに賛成です。国政を議する人々を選ぶのも私たちです。政策の内容をもっと勉強して、頼りになる人を選んでいかなければ、自分の子どもたちの生きる国をこのまま残せません。今が一番の頑張りどきだと思います。

 「余計な事はしない方がいい、出る杭(くい)は打たれるよ」と言われることもあります。しかし、何も言わないで済ませてきた結果が今の日本です。私たち30代、40代が出る杭になり一生懸命生きなければ子どもたちに申し訳が立ちません。上手な世渡りはできませんが、これからも一生懸命生きていきたいと思います。






(上毛新聞 2012年7月16日掲載)