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高崎中部名店街理事長  友光 勇一 (高崎市鞘町)


【略歴】日本大商学部経営学科、インテリアスクール卒業。現在インテリアショップ経営。高崎中部名店街理事長、神輿高崎右京會会長を務め、街の活性化に取り組む。


神輿を担ぐ



◎元気で明るい町の象徴



 夕闇がせまる高崎の町なかでは、山車囃ばやし子の笛や太鼓の音が風にのり聞こえてきます。高崎まつりに参加する町会のお囃子の練習の音です。これは町の風物詩ともいえ、あちらこちらでこの音が聞こえてきますと、本格的な暑い夏の始まりです。高崎まつりは8月4、5日にあります。今年で38回を迎えます。市内の青年団体を中心に実施本部を組織し、実行委員会をつくって市民に心より楽しんでもらえる祭りになるよう最善を尽くしています。若者の力が高崎を元気にしていきます。

 私たち鞘町は子ども神みこし輿、大人神輿で参加します。大人神輿を担ぐ会は「右京會かい」といいます。その名前は刀の鞘に由来しています。江戸時代、鞘町はその名の通り鞘師の町でした。高崎藩主「松平右京大夫」のデザインにより鞘町の鞘師が創作したといわれています。その故事にならい右京會となりました。会のメンバーは300人を超え、町民はむろん、市内、県内外の多くの仲間に支えられ運営されています。世代も10代から十分過ぎる大人まで幅広くいます。女性も3分の1を占めています。世代、環境、性別のまるっきり違う仲間ですが、神輿を担ぐ時になりますと気持ちが一つになりきれいに楽しく担ぎます。見物の方々にもその楽しさや勇壮さを感じていただくため、年間を通じて練習会を行っています。 われわれ右京會は33年続いています。子ども神輿で育った人たちが今では立派な担ぎ手になり、子どもたちの指導や大人神輿の運行支えになっています。「自分の持っている力を全て出し切るのではなく、仲間のことを考え、少し遠慮する。思いやりを持ち、心を一つにして神輿を担ぐ」。これが右京會の神輿担ぎの奥義かもしれません。これができると立派な神輿渡とぎょ御ができます。神輿渡御とは神輿を担ぎ、大きく動かすことにより神様の霊威を高め、豊作や豊漁、疫病の退散を願う行事です。

 われわれも元気を高崎から発信し、にぎわいのある町にするために精進しております。祭りを通じて元気さはもちろん、粋も追求していきたいと考えています。安心・安全で、楽しく粋な奥行きのある街づくりもその延長線上にあるように考えています。祭りはその町の元気の象徴だと思います。若者が一心不乱に担ぐ姿、飛び散る汗でその町が活気にあふれます。担いでいる人間や渡御に携わる人が元気で楽しく行うことにより、周囲の人々も楽しく元気になっていくと信じています。こんな時代だからこそ、元気で明るい姿が必要だと考えています。神輿を通じて町の活性化に貢献できると信じています。







(上毛新聞 2012年7月26日掲載)