,

視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
前橋朝倉小環境教育講師  鈴木 正知 (前橋市朝倉町)


【略歴】東京都町田市出身。国内外の水族館や動物園で飼育員として勤務。現在、前橋朝倉小でビオ トープを使った環境教育に携わる。前橋地域づくり連絡会委員長。


地域活動への取り組み



◎「仲間づくり」の先に夢



 同じテーマで活動していても地域ごとに具体的な取り組み方法は違います。取り組み方に良い悪いなんてありません。それぞれの地域に合っていて、企画者と参加者の双方が楽しめる活動が将来の発展的な活動を生みだします。地域の個性を尊重しながら地域間の違いを楽しみましょう。活動内容を共にする地域が集まると、ともするとわが地域との比較が始まります。比べたくなる気持ちはわかりますが、結果的に活動へのマイナスのイメージを残し、一部の方のみ負担が増す構造に至ってしまいます。

 回数を重ねていくうちに、より発展的な取り組みに心を奪われ、理想像を追い求めてしまい、その結果、次につなげる余力がないほど頑張って完全燃焼してしまうこともあります。悪いことではありませんが、地域活動においては過去・現在・未来を見渡すバランス感覚を忘れないことが重要です。常に「初めて感覚」で、今できる「ちょうどよい」にとどめて、力を残しながらみんなが楽しみを持続できる企画を心がけることです。欲をいえば、持続的と発展的の双方向が見え隠れする活動に仕立てるのがよいでしょう。目指すところは未来。活動の末に見えてくる未来を常にはっきりさせ、共有していることが大切です。

 地域間で取り組みに差が出のは必然です。その差こそがヒントであり、魅力でもあり、今後の答えを導きます。いわば地域と地域をつなぐバトン。ある地域でよい結果を生んだ活動のノウハウをバトンにして他地域に渡し、生かします。失敗したノウハウも他地域に渡し、失敗を未然に防ぎます。こうして地域でつかんだノウハウを共有することで、地域コミュニティー全体の底上げが図られ、完成度は増していきます。

 地域づくりは「まず拠点をつくる」と言いますが「活動が先」で、拠点は必要に迫られたら用意するのが順序です。情報・人材・知恵のすべてが集まり、共有できる仕組みが地域にできて初めて、適切な場所や規模が見えてきます。さもないと絵に描いたもちに終わるおそれがあります。魅力ある「まち」を構成するのは、魅力ある「地域」があってこそです。

 人材教育は欠かせず、地域のバトンを渡すべき次のランナーは自らが育て続けなければいけません。地域の小中学生や高校生、大学生が企画・運営から参加できる仕組みづくりが大事でしょう。彼らが自分のアイデアを地域の方々と一緒に形にしていく中で、その苦労や地域に貢献している達成感を共に味わえます。また、夢を語ることで世代間の考えの違いや活動できる範囲を知り合い、サポートし合う信頼関係が生まれます。「志を共にする仲間づくり」。その先に夢は生まれ、育ちます。






(上毛新聞 2012年8月9日掲載)