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視点 オピニオン21 |
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◎心身に気持ちいい食を 「食」を取り巻く環境は今、大変なことになっています。1回目のオピニオンにも書いた1977年のアメリカのマクガバン報告では、昭和30年代以前の日本の米を中心とした和食が世界ナンバーワンとされました。その後、アメリカはずっと日本食ブームになっているそうですが、日本は逆に、どんどんアメリカ型の食生活が進み、かつてのアメリカのように医療費が増加しています。 私自身食べ過ぎると体が重くなり便秘気味になります。小食にしている方が、体の調子が良くて疲れないのです。腹八分目がいいと言われますが、食べ過ぎが不健康の始まりというのを実感します。そして、効率や便利さ、安さを追い求め、あまりにも自然でない添加物や農薬まみれの化学物質入りのものを毎日食べていれば、体や心が悲鳴をあげないわけはありません。 私にできることは、太陽の光をいっぱい浴びた季節の野菜や自然な素材を使った「自然(じねん)料理」を料理教室を通して伝え、体や心にとって気持ちいい食べ方を体感してもらうことです。 自然料理はできるだけシンプルな味付けをするようにしていますので、塩やみそ、醤油(しょうゆ)などの調味料はいいものを使うようにしています。また、道具も土鍋や南部鉄のフライパンを使います。素材と調味料と道具を変えて、ちょっとした料理のコツを伝えるだけで、誰でもおいしく作れるようになるのです。 ある保育園の子育て支援のお母さん方が集まるところで、4回シリーズの料理教室をさせてもらったことがありました。 1回目は「重ね煮」という料理方法です。少し塩を入れるだけで、「野菜ってこんなに甘かったの」とお母さんたちがびっくりします。そして、その方法を使ってジャガイモを土鍋で蒸しただけのものを食べてもらうと、「うちの子は小食なんです」と言っていた子がすごい勢いで食べ、お母さん自身がまたまたびっくりするのです。 2回目は砂糖を使わないおやつ作りで、小麦粉を練って、そこにサツマイモと塩を少々入れて蒸すだけで、子どもたちがこれまたおいしそうに食べるのです。また、土鍋で炊いたご飯においしい塩だけつけたおむすびは、もっともっととせがむように食べます。どれも簡単なものばかりなので、大抵のお母さんは家で実行してくれます。 3回目ぐらいになると、お母さんの方から、「重ね煮をもう何回も作っています」とか「子どもがよく食べるようになりました」と言ってくれます。中には「主人に『最近、料理がおいしくなったな』と言われるようになりました」と報告してくれる人もいます。こうした地道な活動をコツコツと続けていきたいと思います。 (上毛新聞 2012年8月15日掲載) |