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視点 オピニオン21
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繊維製品企画会社グラムス社長  松平 博政 (桐生市境野町)


【略歴】流通経済大卒。繊維メーカー勤務を経て2005年に独立。桐生市イクメンプロジェクト推進チームリーダー。NPO・ファザーリング・ジャパン会員。


子育てと地域活性化



◎キッズ関連の企業誘致



 桐生市イクメンプロジェクト推進チームは現在、これまでの実績や反省を踏まえて、桐生市への提言をまとめている。提言が提言だけで終わることが多いようなので、何とか具体的なアクションに移せるよう知恵を絞っている。

 子どもの成長に寄り添うように活動をしてきて思うのは、イクメンという言葉の限界を感じると同時に、仕事や地域活動、PTA、スポーツ少年団など、子どもと関わる立場の保護者の活躍がもっと評価されていいということだ。ただ、目的を見誤ると自己満足に陥りやすく、もったいないと感じることも多い。もっとアメーバのように有機的に結びついて、それぞれのノウハウを共有し、大胆な選択と集中を進め、いろいろな立場の人々が関われる地域活性化プロジェクトに進化する必要があるのではないだろうか。以下、アイデア段階だが、私個人の意見を記す。

 一言で言うと、インキュベーション機能をもった「キッズバレー(KidsValley)」の形成を目指したい。まず、シリコンバレーのように、キッズ関連の事業者を誘致する。桐生出身でグローバルに事業を展開している企業もあるので、地域の子どもたちへのサポートを条件に、廃校や空き施設などを利用して優先的に誘致。同時に、地元産業界などの協力を得て、ベンチャー精神を養う教育を施し、世界に通用する若いミニ起業家を多数輩出する。インターンとして企業で活動して職業観を育んだり、より専門性の高い教育機関で学んだりできる。

 一方、桐生が岡遊園地・動物園を拠点に、街ぐるみでリピーターを増やすマーケティング戦略を練りたい。いつも何か刺激的なイベントや仕掛けを作ることで、市外からでも何度も足を運びたくなるような場所にしたい。ITやものづくりなどの周辺産業も集積して、さまざまな企業や団体との連携を推進し、商業も活性化することで雇用を増やしたい。もちろん、これから家族をつくる世代へ向けての出会いの場創出も必要だろう。衣・食・住・遊・学を充実させ、ここにしかない魅力を発掘し、磨きあげることで桐生市の課題である人口減少に歯止めがかけられるのではないか。家族やこれから家族をつくろうと考えている人々にとって、将来に希望を持てる安心した設計の優遇税制も期待したいところだ。

 これらを子育て日本一を目指す桐生市やその周辺から発信するべきだ。子ども目線で毎日新鮮な気持ちでワクワクするような街であれば、父親だけでなく、誰でも輝けるはずだ。子どもから多くのことを学び、仕事や家庭・地域活動などに生かしたい。関わる人の専門性を生かし、最高のチームワークで最高のパフォーマンスを目指す。ちょうど今夏大活躍したオリンピック日本代表選手たちのように。






(上毛新聞 2012年8月30日掲載)