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神流町観光インストラクター  細谷 啓三 (伊勢崎市韮塚町)


【略歴】沼田市出身。神奈川県神奈川工業高、京都市立芸術大学校美術学部卒。大洋グループなどでテレビ制作関連の業務に携わり、2009年8月から現職。


「神流の涼」



◎清流に親しむ場を提供



  神流町は藤岡市から西へ車で1時間ほど走った神流川沿いの人口2300人ほどの町です。今年も清流体験「神流の涼」のイベントが7月21日から8月15日までの土曜、日曜とお盆期間の計11日間にわたり行われました。今年で3年目を迎え、8600人の来場者がありました。

 町を流れる神流川を生かした夏の観光の活性化策のひとつとして河川敷に観光簗(やな)を作り、アユの塩焼きを販売することを目的に企画されたのがそもそもの始まりです。イベントに携わってきて感じることは、もちろん企画の内容は大切なのですが、やはり継続することの重要さです。来場してくれたお客さまの口コミで翌年来場者が増える。そしてまた翌年も口コミにより来場者が増加する。初年度は2000人、2年目は5800人ですから、着実に増えています。

 もちろん、来場していただいたお客さまに満足してもらえなければ、このような計算も成り立たないのですが、幸いにも神流川の水のきれいなことや、河川のすぐそばに駐車場やトイレなどが完備されていたことなど、恵まれた環境も後押ししてくれました。

 そして何よりも大切なことは安心、安全です。川遊びというと危険がつきものなのですが、幼児から大人まで、安全に川遊びができることをコンセプトに河川のレイアウトを計画しました。

 町のこいこいアイランド会館前の河川敷に観光簗を設置し、本流から観光簗までの約200メートル区間に、幅3メートル、水深30センチほどの「流れる水辺」を人工的に作りました。タイヤチューブで安全に遊ぶことのできる水辺です。また、6メートル×3メートルほどの流水のある池を設け、イベント中はニジマスを放流。小川の上には桟敷を作り、川床風の無料休憩所を設置しました。「もてなしテント」ではアユの塩焼きをはじめ、郷土料理のあかじゃがのイモ串、冷や汁うどん、飲み物などをそろえました。

 今年の夏を振り返ると、事故もなく、大勢のお客さまに「神流の涼」を楽しんでいただけたことに感謝、感謝です。県内の河川は安心して川遊びができるエリアが年々少なくなっていますが、この神流川では安全に川遊びのできる場を継続していきたいと考えています。

 「神流の涼」がこれからも、夏休みのお子さんやファミリーに、かけがえのない思い出づくりの場になるよう力を注ぎます。お客さまに満足いただけるよう年々充実させてきた内容を、なお一層充実させようと、来年に向け計画を新たにスタートさせています。暑い夏にお届けする「神流の涼」にご期待ください。







(上毛新聞 2012年8月31日掲載)