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「親子でハーモニー」代表  市川 イヅ実 (伊勢崎市上諏訪町)


【略歴】伊勢崎市生まれ。関東短大初等教育科卒。伊勢崎市内の慈教幼稚園教諭を経て菊池保険事務所勤務。2008年から「親子でハーモニー」代表。


目標を持つ



◎諦めずに近づく努力を



 8月に開かれたロンドン五輪では連日、日本選手の活躍が話題に上っていました。普段はスポーツに無縁の私も、この時ばかりは日本選手の活躍が気になり、競技結果を調べていました。そこに到達するまで、どれだけの練習時間を費やし、家族の協力があったかと思うと、結果うんぬんより、そこまでの努力をたたえたいと思いました。

 わが家にも昨年から「スポーツの風」が吹き始めました。きっかけは、次男に体形の崩れを指摘された夫のダイエットでした。食事制限から始め、体重を減らし、ウオーキングをやりました。次第に歩くだけでは物足りなくなり、まもなく走り始め、マラソン大会(ハーフ)にも何回か参加。昨年12月にはフルマラソンを完走しました。完走率が低い大会だったようで、その時の夫の表情は達成感に満ちあふれていました。

 今度は走るだけでは満足しなくなったようで、水泳、自転車の練習をして「自称トライアスリート」になりました。今年はトライアスロン大会へ複数回参加し「将来は有名な大会へ出たい」と、目標を持ち意気込んでトレーニングをしています。明確な目標を持って行動すると人は変わっていくんだなあ…と、しみじみ思っています。

 さて、子どもたちはというと、昨年は父親の変わりように冷ややかな態度でした。でも今夏になり、次男が影響を受け始めました。次男は赤ちゃんのころから動くのが大好きで、歩き始めると、自分でぶら下がれそうな場所があれば、どこでもぶら下がっていました。水中に潜れるようになってから自信がつき、プールやお風呂の湯船でも潜っています。次男の様子を見ていると、遊びの中に自然と練習を取り入れ、上手になっていくので、成果は練習に比例すると感じています。

 そんな2人の様子に、幼稚園勤務の時に見た、お釈しゃか迦様のビデオの一部を思い出しました。悟りを開く前のお釈迦(しゃか)様が湖の近くに来た時、1匹のリスが「自分は湖の水を干すんだ」と言って、尻尾を湖につけては何回も土の上に水滴を落としていました。そばにいたお釈迦様は自分に諦めの気持ちがあったことに気づき、その気持ちを乗り越えて悟りを開かれました、という内容だったと記憶しています。

 私自身振り返ると、子どものころから何かしらの目標を持っていたなと思い出しました。今は忙しさに流されて、あっという間の毎日を過ごしています。すぐ諦めてしまう私ですが、これを機会に自分なりの目標を持って、リスのように諦めずに一歩でも近づく努力を続けていこうと思います。






(上毛新聞 2012年9月7日掲載)