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高崎経済大教授  久宗 周二 (千葉市緑区)


【略歴】横浜市生まれ。高経大卒、日大大学院生産工学研究科博士前期課程修了、北大大学院博士(水産科学)取得。高経大准教授を経て、2010年4月から現職。


大学のキャリア支援



◎自主事業化で一層充実



 現在の日本はリーマンショック以来、不景気が続いていることに加えて、東日本を大震災と津波が襲ったことで経済活動は厳しい状況になっています。その中で、企業は生き残りをかけて正規雇用を減らすなどのコストの削減を行う一方、企業活動を継続的に行うために以前に比べて少人数の優秀な人材を採用しようとしています。

 文部科学省が8月27日に公表した学校基本調査によると、今春の大学卒業者約56万人のうち、ほぼ4人に1人にあたる12万8000人余り(約23%)が、進路未決定や非正規雇用など安定した仕事に就いていないことが明らかになりました。

 そのような状況を鑑みても、大学は学生に対して充実したキャリア支援体制の構築が必要不可欠です。以前は大学の就職担当部署の主な職務は学生の進路先の把握、集計でした。現在、大学でいろいろなガイダンスを行っていますが、その多くは就職支援会社に委託をしています。それらのガイダンスは情報量も多いのですが、画一化された内容です。

 インターネットでもさまざまな就職サイトがありますが、掲載されている企業は就職業者にお金を支払っている企業であって、載っていない会社でも良い会社はたくさん存在します。そこで、就職ガイダンスや企業説明会などは、学生のために一番良い方法になるように、自主事業化を考えました。

 2011年に高崎経済大学が公立大学法人に移行した時、学部ごとの就職委員会をキャリア支援センターに一元化し、キャリア支援センター長を置いて筆者が着任しました。限られた費用、人員で効果的にキャリア支援を行うために、すべての事業について費用対効果を考えて棚卸しして、「高経就職支援プロジェクト」を作成しました。同じ公立大学でトップクラスのキャリア支援をしている大阪市立大学をモデルに、同大就職担当課長の大島禎氏にいろいろと協力をしていただきました。

 昨年後期より「学生の就業チャンスをつくる」ことを目的に、12月に112社の協力を得て「合同企業説明会」を開催しました。地域貢献の視点で、他大学の学生にも参加していただきました。「学生のキャリアに対する意識の高揚」を目的に、従来の就職業者によるガイダンスに加えて、各種企業の研修資料をベースに、自主事業化した「就職支援ガイダンス」を開催して好評を得ています。厳しい環境ですが、今後も関係機関の協力を得て「学生のために」できる限りのことをやっていこうと思っています。







(上毛新聞 2012年9月21日掲載)