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視点 オピニオン21
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NPO法人グリーンハート理事長  横堀 充則 (伊勢崎市太田町)


【略歴】伊勢崎市生まれ。明和県央高卒。飲食店経営。2009年、市内の若者の活動拠点としてNPO法人を設立。波志江沼イルミネーション実行 委員。


夢の連鎖



◎仲間と時間や目的共有



 私の目標は世界中に学校をつくることです。目標を話すと皆さん感心してくれます。しかし、私は大したこととは思っていませんし、むしろ誰にでもできると考えています。今の社会では「目標がない人はやりたいことを見つけて頑張りましょう」という空気がまん延しているように思えます。目的を持って物事に取り組むのは素晴らしいことです。しかし、世の中を見れば目標がない人の方がはるかに多く、夢や目標といった事柄がビジネスとして利用されていることに悲観的な思いを抱きます。

 目標の立て方や見つけ方には決まりもルールも一切ないと思います。なぜならば、目標は共有することができるからです。一人の本気の行動は仲間に伝わり、たくさんの人を巻き込みます。私はこれを「夢の連鎖」と呼んでいます。ボランティア事業も私がやることを決め、それを皆で考え実行する。それにより、みんなが楽しめるボランティアになります。目標を人にたたき込むのではなく、物事のプロセスを共有する。これは個々の自発性や長所を自然に引き出すために大切です。

 社会という大きなコミュニティーの中で生きる私たちにとって、社会全体が共感できない目標を掲げれば、社会生活はつらいものになってしまいます。私自身も納得いかない社会だからこそNPOというコミュニティーを運営しています。この世の中が完璧であれば、NPOコミュニティーも必要ありません。

 私はNPOとは別にさまざまな収益事業を行っています。来月、ディスカウントショップを前橋市でリニューアルオープンします。収益事業ではありますが、積極的にボランティアを行っていきます。店内にフリースペースを設け、無料で飲み物を提供し、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に利用していただこうと考えています。駐車場を使ってのフリーマーケット、さらには集まった人たちで近隣の清掃活動などを行っていきたいと思います。人と人が楽しくつながる店舗経営を目指し、人々が集まるコミュニティーづくりをしていきます。

 私は仲間と時間や目的を共有し、さまざまな場面で人に助けられてきました。人間とは心ある生き物です。ですから人生の本当の安定は自分自身の心にあると私は思います。この世の中で一番大切なのは、人と時間を共有することではないでしょうか。他人から学び、実行し、人へ伝えていく。最初に学校をつくりたいと言いましたが、今の世の中で、人は一人では何もできないことを子どもたちに伝えていきたいと思っています。この世界に生きる全ての子どもたちが国境や文化、価値観、人種を超越して目標を共有できたなら、全ての人の人生は笑顔に満ちあふれるでしょう。私はこれからも語り続けていきます。





(上毛新聞 2012年9月27日掲載)