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◎つながりの大切さ学ぶ 東日本大震災が発生してから、1年半が過ぎました。被災地に対するさまざまな支援活動が、あちこちで行われていることと思います。 沼田商工会議所は、気仙沼商工会議所と十数年前から、おつきあいがありました。海のない沼田と海のある気仙沼。新鮮な海の幸を、ということで、気仙沼商工会議所は「海鮮隊」を組織して、お祭りなどの時に沼田まで海産物を販売しに来てくれていました。 そんなご縁が続いていたところに、あの震災が起こったのです。沼田の人たちは、たいそう心配したことでしょう。震災から11日目には、沼田商工会議所が早くも支援物資を気仙沼に持って行ってくれました。その恩返しということで、昨年11月に行われた沼田のえびす講では、気仙沼の方々が1千人分ものマグロの寿 す し司を提供してくれたのです。 この年は、全国的にもそうでしたけれど、沼田でもいろいろイベントが縮小されたり、中止になったりしました。毎年12月に沼田の戸神山で、山をライトで飾る「星の絆」というイベントがあるのですが、この年は電池式のライトをLEDに替え、太陽光を使い、沼田公園でライトをともしました。 そのライトを今年3月、気仙沼に持って行ったのです。津波で被災したスーパーの跡地に、この「絆ライト」を点灯しました。高さ6メートルのツリー型を想像してみてください。気仙沼の方々は「この絆ライトは、鎮魂の意味も含めて、希望のあかりになった」と言ってくださったそうです。 さて、沼田の中学校の職場体験でのお話です。例年通りただ、いろいろな職場に行くだけではなく、今回は震災で被害に遭った人たちの役に立つことをしようと、生徒たちは考えました。そして、今年4月に沼田の商店街で行われた「柳波祭り」で、気仙沼の物産を自分たちで仕入れ、自分たちで宣伝して、販売しました。 その売り上げを気仙沼に寄付しようという計画でしたので、夏休みに益金を持って、気仙沼へ行きました。生徒たちはしっかりと現実を受け止め、学んできたようです。生徒たちに学びの場を与えてくれた気仙沼の方々、そして、子どもたちのために一生懸命奔走してくださったPTAの方々、もちろん、生徒たちが学びたいと思う心、それぞれがすばらしいと思います。 私たちは被災地を「支援している」と言いながら、本当は被災地の方から逆に力を与えてもらっているような気がします。人と人とのつながり、そして絆。あの震災から私たちは、人として大切なことを学び続けているのです。 (上毛新聞 2012年9月30日掲載) |