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NPO法人みんなの未来研究所代表  須永 徹 (太田市由良町)


【略歴】元ジャパンビバレッジ環境部長。定年退職後、2009年9月にNPO法人みんなの未来研究所設立。県環境アドバイザー、県地域づくり協議会委員。


富士山鉢巻き大作戦



◎再生の思い全国へ発信



 私たちは「太田パワー・ボランティアーズ絆」という名前で、東北への支援活動を継続しています。“おいしいコーヒー飲ませ隊”は今も現地の仮設住宅集会場を月に1~2回訪問しています。現在は福島県浪江町の仮設住宅におうかがいしていますが、行く際には音楽をやる人に同行してもらい、演奏したり、住民の方と一緒に歌ったりしています。

 その中の一人に前橋出身の山口マリーさんもいました。マリーさんとは10年来のお付き合いですが、所属する事務所の社長Iさん(福島県出身)から「鉢巻きで富士山を囲んで東北に元気になってもらえるように発信したいな。手伝ってくれない?」という話がありました。目的は大震災と原発被災地の岩手・宮城・福島から日本や世界へ再生の思いを発信し、連携を強めること。何度か打ち合わせを重ねた結果、概要はこんな感じでまとまってきました。

 ①山中湖周囲約14キロを鉢巻きでつなぐ。

 ②鉢巻きは東北の人にボランティアで縫ってもらう(生地はこちらで準備)。

 ③鉢巻きは120センチ×10センチのものを1万4千本。縫った人が、そこにメッセージを書き込む。

 ④鉢巻きは1本500円で販売し、買った人もメッセージを書き込む。

 ⑤売り上げからコストを引いて、残りは全て寄付する。

 ⑥2013年11月9日午前11時11分に一斉に結ぶ。

 ⑦結んだ鉢巻きは、終了後は富士山神社へ奉納する。

 既に、私たちが重点的に訪問・活動している浪江町の社会福祉協議会から、鉢巻きを縫うボランティアについて協力する旨のお話をいただけました。何とか年内に生地を送り、鉢巻き作りから始めようと思っています。

 名付けて「富士山鉢巻き大作戦」。プランは生まれたばかりで、どんな形に落ち着くか予測はできませんが、たくさんの人に参加してもらい、いろいろアイデアを取り入れて、支援する側とされる側が共通の夢を達成する場としたいものです。

 大震災や原発事故は決して忘れてはいけないことです。風化させず、ゼロから新しい仕組みで復興していくためにも継続して東北地方を見守り、支えていくことが必要です。しかし、年月を経ると次々に発生する新しい事件や出来事に目を奪われ、人々の記憶から少しずつ消えていくようで心配でなりません。ボランティア活動する人も随分少なくなっているようですが、被災地の復興への道のりはまだまだ遠いのが現実です。

 現地での復興の進み具合により、希望するボランティアや支援の形も変わってきます。これからも支援という活動は物心両面が必要ですが、同じ時代を生きる者同士、常に被災地への思いをなくさずにいたいものです。







(上毛新聞 2012年10月3日掲載)