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視点 オピニオン21
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繊維製品企画会社グラムス社長  松平 博政 (桐生市境野町)


【略歴】流通経済大卒。繊維メーカー勤務を経て2005年に独立。桐生市イクメンプロジェクト推進チームリーダー。NPO・ファザーリング・ジャパン会員。


20年後の君たちへ



◎皆が輝く街へ知恵絞る



 20年後の子どもたちへ。

 パパたちは、桐生市イクメンプロジェクト推進チーム(KIP)で、これからの桐生市をもっと住み良い街にするためにどうしたら良いかを考えています。これまでの約1年半の活動は、桐生市や群馬県の偉い人たちやたくさんの仲間にお世話になって、とても成果のあるものになったと思っています。

 でも、君たちがこれから桐生市で勉強や生活をして、もしかしたら仕事もしていくことを考えると不安になります。働きたくても働く場所がなかったり、子どもの数が減って君たち1人当たりの負担が大きくなったり、それでいて世界と競争し続けていかなくてはならないから。

 本当はもっと仕事を早く終えて、君たちとサッカーしたり、宿題を見たり、旅行もたくさんしたいと思っています。まあ、人並みにはやっているつもりだけど。それでも、君たちが大きくなったときに、ここで生まれ育ててもらって良かったと、少しでも思ってもらえるように、いまパパたちが頑張らないと、君たちにとても大きな負担がかかってしまう。だから、今の負担をコストとしてとらえるのではなく、将来への投資として今やれるだけのことを精いっぱいやっていこうと思っています。たぶん、これを読んでくれている群馬県内のパパたち、元パパたち、プレパパたちも同じように思ってくれているでしょう。

 パパたちが青春時代を過ごしていたころの桐生市と比べると、人口は12万人を割り、減り続けています。モノづくりの会社の製造品出荷額は約6割減っていて、お店などの年間商品販売額は半分になっています。働く人が少なくなっている分、これからの君たちには、生活や仕事などのあらゆる場面で、生産性向上の能力が必要になってきます。

 「育てる男がまちを変える」。これを合言葉に桐生市は変わっていくと思います。なぜなら桐生市の偉い人たちをはじめ、多くの仲間が行動しているからです。20年後は君たちが社会の主役になっていきます。どうしたら20年後の君たちを手助けできるか、知恵を振り絞ってパパたちは考え続けます。パパたちKIPの活動は今年度で終わりを迎えますが、この地域にはこれからも新しい家族が生まれ、新たな命が育まれます。大人が輝き、若者も輝き、彼らの子どもたちもまた、それを受け継いでいく。きっとパパたちだけではできないこともあるかもしれない。もっとたくさんの人と力をあわせて、桐生をおもしろい街にしていきたい。お金がある人はお金を、知恵がある人は知恵を、行動力のある人は勇気と行動を提供していただこう。20年後に笑って暮らせるように。そして君たちの活躍を大いに期待しています。

 パパたちを信じていてください。






(上毛新聞 2012年10月22日掲載)