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視点 オピニオン21
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高崎健康福祉大教授  入沢 孝一 (前橋市関根町)


【略歴】渋川高、中京大体育学部卒。嬬恋西中、嬬恋高をスケートの強豪校に育てた。日本代表コーチ・監督も務め、黒岩彰、黒岩敏幸を五輪でメダリストへと導いた。


第二の人生を充実



◎根付かせよう健康運動


 退職して3年が過ぎました。私と同世代の皆さんは団塊の世代として第二の人生を歩み始めていることと思います。第二の人生を充実させるためには健康最優先です。さて、皆さんはどんな健康方法を実践しているのでしょうか。私が所属している高崎健康福祉大学は、理学療法学科として全国唯一の健康運動実践指導者養成校となっています。2年後には本学から健康運動実践指導者(及び健康運動指導士)の資格を持った理学療法士が社会に出ていくことになります。リハビリにより社会復帰させることを中心業務としている理学療法士が、予防医療の立場でその専門性を生かすことを意味しています。これから80~90歳まで元気・健康を目指すわれわれにとっては心強い味方になってくれるはずです。

 私は、健康スポーツを考えることに戸惑いを感じていました。しかし、今後20年間健康を維持していくために必要なことは競技スポーツよりも健康スポーツであることに気が付きます。皆さん、1日に歩く歩数を計測したことがありますか。今、私の腰のベルトには、歩数計が装着してあります。目標は1日1万歩。

 先週のデータを紹介します。週の日平均歩数は7千歩、目標にはほど遠い結果です。目標を達成した日は運動する日と決めている火曜のみでした。おそらくデスクワーク中心の勤務をされている皆さんの歩数は1日3千歩~4千歩程度ではないかと思います。これは危機的状況です。昼休みに30分程度の散歩時間を設定するとか、一駅前で降りて通勤時間を利用するとかの工夫により、6千歩くらいを確保しないと1万歩には達しません。私も歩数計を装着しなければこの危機的状況に気付きもしなかったことにがくぜんとします。

 運動は若者にも必要ですが、中高年にとっては必要不可欠であることに気が付きました。ちなみに、厚生労働省の「健康づくりのための運動指針2006」では、日常生活での健康づくりのために普通歩行で1日60分、4キロ、1万歩、加えて速歩やジョギング、レジスタンス運動(筋力)等を週に2回程度実施することを勧めています。

 先日の新聞に「運動しない20代=運動する40代」という見出しの記事がありました。若い世代の運動不足が将来にどのような影響を与えるのかを認識する必要があるという内容です。若い世代のために私たちの世代ができることは、日本の超高齢化社会に、60歳を過ぎたら運動するという「健康運動文化」を根付かせることではないでしょうか。団塊世代の皆さん、昔懐かしい運動着は捨て、素晴らしく機能的になっている流行の最先端の運動着に着替え、外に飛び出しましょう。すぐに体型が運動着に合ってきます。今、夕方6時です。腰の歩数計は6千歩を表示しています。今日は8千歩くらいかな。





(上毛新聞 2012年10月28日掲載)