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◎人を敬い感謝する心を 子育て支援団体「親子でハーモニー」の定例会議で、どうしたらアニメ「サザエさん」の「カツオ君」のような生きる力を持った子どもに育てられるのか? という話題で盛り上がったことがありました。ピンチの時に、とっさに状況判断して行動ができる、あの行動力は素晴らしいと、みんなが絶賛していました。 「サザエさん」は、私が子どものころには気付きませんでしたが、母親となってあらためて見ると、大切なことがたくさん盛り込まれているように感じます。特に「波平さん」が、子どもが悪いことをしたら叱り、間違った考えをした時は、子どもの分かりやすい言葉で正す。そんな内容が随所にあり、「人として守るべきこと」を学んでいるように思います。 情報があふれている中、私は子どもに何を伝えていったら良いか悩んだ時期がありました。個性を重んじる現在では常識が多種多様になり、さまざまな環境の中で臨機応変に対応していかなければなりません。大人でも難しいのだから、子どもはもっと大変だなと感じていました。そんな時「こんな時代だからこそ、感謝の心や人を敬う心など、良識を伝えていきましょう」という話を聞き、とても共感できたのと同時に子育ての指針をもらえたように思え、心が少し軽くなりました。 私はそれをきっかけに、子どもたちへ「はいと返事をする」「ありがとうの気持ちを持つ」「悪かった時にはごめんなさいと謝る」という身近なことから伝え始めました。しかし、日常生活のことなので子どもの気分に左右され、思ったような成果はなかなか出ていません。私も子どもたちへ伝える以上、模範となる行動を取るように心掛けなければなりません。自分自身の感情に負けて、時として挫折しそうになる時もありますが、周囲の話題を通して子どもの成長を聞く機会がある度に励まされています。 私が良識を意識するようになってから、考えさせられる出来事が二つありました。一つ目は、子ども主体の行事に参加した時のことでした。子どもが考え、行動する企画にも関わらず、年輩の講師の方が子どもたちに傍若無人に振る舞う様子は首を傾げてしまうほどでした。年齢を積み重ねてもこのようになってはいけないと、私自身への警鐘として考えるようにしました。二つ目は、正しいと思って取った行動を、子どもに間違いを指摘され素直に謝った青年の姿勢でした。その態度はすがすがしく感じました。年輩には良識があって若者にはないという固定観念ではなく、良識は年齢ではなく、人それぞれの育てられ方や体験を通して学んでいくんだなと痛感した出来事でした。 将来「子どもたちに良識を伝えていれば良かった…」と後悔しないように、私自身、気持ちを律しながら日々を送りたいと思います。 (上毛新聞 2012年10月30日掲載) |