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◎住民自らつくり生かす 「ただいまー」。きょうも道場に元気な声が響きます。入り口で神前に礼をして、ランドセルを整然と並べ、すぐ宿題や予習復習を始めます。在籍の1~4年生30人は、約1時間学習をすると、せきを切ったように遊び始めます。ドッジボールやかくれんぼ、自由制作や読書等、思い思いに散らばります。平素は仲良く遊んでいますが、たまにけんかや対立が起こります。しかし指導員は危険がない限り、子どもたちの間で解決できるよう見守ります。 これは今年4月、定年退職した私や同期の小学校教諭、保育士ら10人ほどで立ち上げた『北小学舎』放課後子ども教室の普段の様子です。「落ちこぼしをなくしたい」「思いやりや我慢する心を育てたい」「のびのびと遊ばせたい」などの目的を持った、金銭的な見返りを求めない人たちばかりで運営しています。 場所は館林第一小に隣接している館林邑楽武道館(旧北小学校講堂)という100年以上の歴史がある建物です。長年、子どもたちの健全育成に貢献されてきた剣道や柔道の方々の理解を得て、無償提供を受けるとともに、礼儀や謙譲の心をご指導いただき、あいさつや思いやりの大切さを教えていただいています。 2004年に教育基本法が改正され、学校教育とともに生涯学習の重要性が新たに加えられました。それに合わせるように、文部科学省は地域の人々の力を借り、子どもたちが放課後や休校日に安心安全に過ごせる場所を提供するとともに、異年齢間の交流や学習機会の提供を行い、よりよい環境のもとで育むことを目的とした「放課後子ども教室」の設置を推奨しました。 今日の青少年を取り巻く状況は目を覆うばかりです。アダルトサイトやゲームにより好奇心をあおる、親殺し子殺し、いたずら目的の誘拐、いじめや自殺の深刻化等、挙げればきりがありません。私は地方公務員時代、放課後子ども教室の設立に関わり、このような現代の問題の解決に、放課後子ども教室が大いに役立つと感じました。 私たちが立ち上げた『北小学舎』は、主に自治体が実施している放課後子ども教室とは違い、行政の金銭的な補助を受けません。これからは、住民が自らつくり、運営し、学び、生かすことが大切だと思います。運営は会費制で、保護者も参画して運営委員会を構成しています。 放課後子ども教室は、地域の人誰もが指導者になり、何かを次の世代に伝えることを目的としています。大勢の団塊の世代が退職を迎える現代、今こそ、私たちが培った力を青少年の健全育成のために発揮することが大切だと思います。 (上毛新聞 2012年11月17日掲載) |