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視点 オピニオン21
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ペガサスエージェンシー営業担当  石田 涼太郎 (高崎市浜尻町)


【略歴】17年間にわたり印刷業界で営業や工務を経験。その後、ゴルフ用品販売店で勤務し、スポーツビジネスの世界に触れる。2011年度から現職。


スポーツ振興事業



◎連携して地域を元気に



 私の仕事は野球というスポーツを通じて、地域や子どもたちに夢と希望を与え、地元群馬を活性化することです。私は恥ずかしながら野球はよく分かりません。野球に関わったことすらありません。でもなぜか、この仕事にやりがいを感じています。何がそうさせるのか。それは球場に沸く歓声。観戦する人たちの笑顔。「これこそがスポーツ振興事業だ!」と勝手に感動したのが始まりです。群馬のプロスポーツは、他にサッカーやバスケットボール等があります。きっとそれぞれに関わる人たちも同じ気持ちを味わったことがあると思います。

 私の日々の仕事内容は、球団運営の要となる後援者の皆さまとのパイプづくりで、日々県内随所を回り、活動への理解と運営支援を求め、そしてスポーツ振興事業への参画を推奨しています。

 昨今、経済の悪化、犯罪の低年齢化、親が自分の子どもをあやめるといった暗いニュースが流れる時代となってしまいました。こんな時だからこそ、野球選手を夢見て挑戦し続ける者たちと地域・企業が一体となり、明るい話題づくりを行う地域密着型のスポーツ振興事業が必要ではないかと考えます。

 私たちの球団は行政や地元企業をはじめ、多くの方々の支援で成り立っています。日本経済の悪化は、球団の存続にとって大きな問題です。例え必要性、存在意義が見えたとしても、景気低迷による波が球団の行く手を阻んでいます。「応援したい。だが応援するほどの力がない」。後援者の方々からそんな言葉を良く聞きます。私たちにとって一番つらい言葉です。

 最近では、大手企業でさえスポーツ参戦の休止・撤退を余儀なくされています。私たちも同様にその波にのみ込まれてしまうのか? 答えの見えない自問自答を始めてしまいます。そんな中、必ず思い返すのが球場に飛び交う歓声と笑顔です。一人でも多くの方にこの思いを伝えたい。一人でも多くの方に球場に足を運んでもらいたい。さらに地域経済、地域を元気にしたい。その思いを軸に、私たちは日々実現への道を模索しています。

 いまスポーツ振興事業に関わる者に課せられた責務のポイントは何でしょうか。個人的には「連携」ではないかと考えます。人は一人では生きていけません。味方ばかりでもだめ、敵ばかりでもだめでしょう。行政・企業・地域、そして私たちが手を取り合えれば、一つでは動かせなかった何かが動き、一つでは変えることのできなかった何かが変わるのではないかと感じています。今回は球団の存在意義といま置かれている現状・課題の話になりましたが、次回は変わるための「何か」、変えるための「何か」を探求したいと思います。






(上毛新聞 2012年12月22日掲載)