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みなかみ町観光協会・温泉ソムリエ  施井 真希子 (みなかみ町月夜野)


【略歴】東京都生まれ。慶応大総合政策学部卒。外資系企業に10年間勤務し、マーケティング・広報を担当。2010年4月から現職。08年に温泉ソムリエの認定を受ける。


マーケティング調査



◎観光実践に役立てる



 私が観光協会に入ったのは2010年4月。最初に携わったのはみなかみ町のマーケティング調査でした。それまで、町に来た方や宿泊された方へのアンケートなどはありましたが、首都圏の人たちを対象にした、町に対するイメージや旅行経験などのデータがなかったからです。

 調査結果を見ると、首都圏の人を100人とした場合、みなかみを知らない人が26人(4人に1人は町を知らない)、過去3年の間に来たことがある人は17人でした。来たことがある人を100人とすると、宿泊が60人、日帰りが40人でした。

 また、季節別に見ると、夏に42人、秋に38人、春に35人、冬に30人(複数回答)来ています。来る目的(同)は温泉が61人、ドライブやツーリング30人、スキーやスノーボード20人、谷川岳・一ノ倉沢15人、紅葉見物12人、そしてラフティング・カヌー・パラグライダーなどのアウトドア体験はわずか6人でした。

 全員を対象にイメージ調査をしたところ、58人が「町にはお年寄りが多そうだ」、46人が「自分の住んでいるところから遠い」、45人が「雪のイメージが当てはまる」と答えています。

 調査の中で一番興味を持たれた観光目的はホタル観賞(26人)とおいしい果物狩り体験(25人)でした。しかし、これらが町でできると知っているのはホタル観賞5人、フルーツ狩りは11人でした。

 ちなみに、20代、30代の回答者を100人とした場合、町を知らない人は32人に増え、約3人に1人は知らないということが分かりました。

 これらの調査結果を参考に観光実践した例としては、温泉を基軸にしつつ、来訪率の低いアウトドア体験を若い方にPRしたり、宿泊につながるホタル観賞を今まで以上にPR。また、果物狩り用にフルーツマップを製作したり、SL内でフルーツを配り、認知度アップに努めました。

 さらに、その年始めた星の鑑賞会は調査時も反応が良かったのでこちらも主力商品として売り出しました。

 その結果、初年度にもかかわらず、JRさんや県の広告宣伝活動の後押しもあり、多くのお客さまに来ていただきました。そして、ドライブやツーリングを来訪目的にしている方が温泉の次に多いため、今年はツーリング愛好者向けのイベントを行いました。

 調査をする前は、現状が分かりにくく、「今の観光客の多くはラフティングを目的に来ているのではないか」「みなかみのホタルは十分に認知されているのでは」など憶測を頼りにしていました。

 調査を行い、客観的に現状を把握することで観光実践に役立てることができ、また今後これらの数字がどう変わっていくかを見ることで活動の成果を見ることができます。観光にも市場調査をお勧めします。






(上毛新聞 2012年12月25日掲載)