創立100年を迎えた警視庁目白署(東京都豊島区)の正面玄関には、特別な紋章がきらめく。他の警察署と同じ旭日章の周りを、桜の葉が囲む図柄。管内にある学習院に通学する皇族の身辺を守ってきたことから、天皇を警護した旧陸軍近衛師団の紋章にならった唯一無二のデザインだ。
前身の高田署は、関東大震災から約2年後の1925年10月1日、巣鴨署から分離して開署。33年に目白署に改称された。豊島区の半分ほどの面積を管轄。48年には管内で12人が毒殺される帝銀事件が発生した。
紋章は、前庁舎が完成した27年以降に使われ始めたとみられるが、「正確な時期は不明」(署幹部)という。
現在、学習院に通学している皇族はいないが、今年4月には学習院創立百周年記念会館を卒業生の天皇陛下や三笠宮家の彬子さまが訪れられ、署員らが警備に当たった。
署長室には「お宝」も保存されている。日露戦争で旅順攻略を指揮した乃木希典が学習院長在任時に愛用したとされる机で、27年に学習院関係者から寄贈を受けた。かつては署長が実際に使用していたという。
旭日章の周りを、桜の葉が囲む警視庁目白署の特別な紋章=2日
警視庁目白署の署長室に保存されている乃木希典が愛用したとされる机=2日