文字サイズを変更する
小
中
大
 

群馬県のニュース

卒業制作の油彩発見 人間国宝・竹工芸家の故飯塚さん 

更新日時:2017年6月7日(水) AM 06:00
 国の重要無形文化財保持者(人間国宝)の竹工芸家、故・飯塚小■斎しょうかんさいさん(1919-2004年)が、東京美術学校(現東京芸術大)の学生時代に描いた油彩画「K嬢像」が、長女の万里さん(61)=群馬県太田市=の自宅倉庫で見つかった。作品の寄贈を受けた市美術館・図書館によると、卒業制作として1942(昭和17)年に描いた作品とみられる。同館の開館記念展「未来への狼火のろし」で初公開されている。

 (■は「王」ヘンに「干」。以下同じ)

 「K嬢像」の左下部に、飯塚さんの直筆とみられる文字で「紀元二千六百二年飯塚成年作」と記されている。モデルは、飯塚さんが当時住んでいた東京・根岸の自宅近くに住む女性。同館は「描写は学生時代に師事した藤島武二の影響が色濃い」としている。

 万里さんと同館の学芸員が、昨年10月ごろに開館記念展の出品作品を倉庫で整理していたときに見つけた。額装され、保存状態は良好だった。栃木県内の専門家に修復を依頼し、記念展で展示した。

 万里さんは「卒業制作で描いたという絵の存在は父から聞いていた。太田に新たな美術館ができたことで、奇跡的に発見することができた」と喜ぶ。

 飯塚さんは、油画科に入学し、日本洋画界の重鎮、藤島武二氏に学び画家を目指した。だが、竹工芸家の父、琅■斎ろうかんさいの跡を継ぐ予定の兄が早世し、画家の夢を諦めて竹工芸を始めた。81年に東京から太田市に転居。翌82年、63歳で人間国宝に認定された。

 記念展は7月17日まで。問い合わせは同館(電話0276・55・3036)へ。

◎花かご「雲龍」米の美術館に メトロポリタン収蔵
 飯塚さんが1990年に制作した「白錆花かご『雲龍』」が、米ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されることが決まった。

 雲龍は、父親が創案した「つぶし」と呼ばれる技法を用い、帯状の竹を組み上げた花籃。大きさは幅61センチ、高さ42センチ。

 同美術館で13日から来年2月まで開かれる企画展「日本の竹工芸:アビーコレクション」で展示され、企画展の終了後、ほかの竹工芸品とともに美術館に寄贈される。

 万里さんが米国在住の美術コレクターに昨年夏ごろ譲り渡した。万里さんは「極めて完成度の高い作品。海外で改めて日本の竹工芸の芸術性に注目が集まっている」と話している。

 飯塚さんの別の作品を所蔵する市美術館・図書館は「太田で生み出された作品が海外で高く評価されてうれしく思う」としている。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

初公開されている「K嬢像」

 

メトロポリタン美術館に収蔵される「雲龍」