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群馬県のニュース

大手拓次の直筆覚書発見 県立文学館で15日から展示 

更新日時:2017年4月3日(月) AM 11:00
 群馬県安中市出身の詩人、大手拓次(1887~1934年)が詩集出版のため、北原白秋に宛てた直筆の覚書10枚が2日までに見つかった。「孤独の箱のなかから―おぼえがき―」と題し、自身の詩を評価した白秋や萩原朔太郎への感謝の気持ちをつづっている。母音「あ」についてイメージを膨らませた全集未収録のメモも発見された。県立土屋文明記念文学館(高崎市)で15日に始まる、生誕130年記念の企画展でいずれも展示される。

 拓次は1912年12月、白秋主宰の雑誌「朱欒ザンボア」に「藍色のひき」「慰安」の2編が掲載され、詩壇に登場。口語象徴詩による独自の世界は朔太郎からも高く評価された。

 今回見つかった覚書は、26年9月10日夜に書かれたもの。白秋から2度目となる詩集出版の打診を受け、全186編の詩稿に添えて翌日に送った。

 「わたしは、ながいあひだ蝸牛かたつむりのやうにひとつの箱のなかにひそんでゐた」と始まり、「朱欒」への作品掲載から15年の年月を振り返っている。白秋への感謝とともに「萩原朔太郎氏は、ときどき火花のやうな情熱のこもつた友愛を私にしめしてくだすつた」と記し、詩の選択に朔太郎のアドバイスを受け入れたこともうかがえる。

 覚書は全集(71年刊行)に収録されているが、直筆原稿は行方不明になっていた。同館が今年2月、東京都内の古書店から「あ」に関するメモとともに購入した。

 メモ「母音『あ』の感覚。」は原稿用紙1枚。欄外に14年11月11日夜の日付と「論文要目」と記されている。「一~十二月」「春、夏、秋、冬」「朝、昼、夜」など詳細に項目を立て、言葉自体に人格を見いだす拓次のこだわりがうかがえる。

 拓次は詩集出版を2度持ち掛けられたが、内向的な性格のためか、生前に詩集を出すことはなかった。死後2年たった36年、友人の逸見享の編集で遺稿詩集「藍色の蟇」が刊行された。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

大手拓次

 

原稿「孤独の箱のなかから―おぼえがき―」の1枚目