無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 尾瀬に高架式木道完成 クマと人が「立体交差」
2007/9/23掲載
クマが下を通る空間を確保するために付け替えられた高架式木道
 尾瀬ケ原に出没するクマ対策の一環として、東京電力が尾瀬ケ原北東部のヨッピつり橋―東電小屋間の木道の一部で進めていた高架式木道への付け替え工事が完了し、二十二日、ハイカーに開放された。新しい木道は高い所で地面(水面)から一―一・五メートル。山から湿原に下りてきたクマが木道の下を通れるようにすることでハイカーとクマが鉢合わせになる危険を避け、事故防止につなげる。尾瀬国立公園でクマ対策として木道の高架化は初めて。
 付け替えた区間は二カ所で、長さ百四メートルと百五十六メートル。既存の木道との接合部からなだらかなこう配を持たせ、段差を作らず、人が歩きやすいよう配慮した。
 ヨッピつり橋から東電小屋までの区間では、一九九九年と二〇〇四年に木道でハイカーがクマに襲われる事故が発生。シーズン中、周辺には高さ二メートル程度のヨシが生い茂り、見渡しが悪い区間があるため、ハイカーらからクマと遭遇しないか、不安の声が上がっていた。
 このため、尾瀬で活動するクマ研究者らが二〇〇五年、尾瀬山ノ鼻地区ツキノワグマ対策会議で、他の国立公園の事例を踏まえた木道の高架化を土地所有者の東京電力に提案していた。高架化は、高い位置を人が歩くことでクマと人が互いに発見しやすくなる。  東京電力は「自然との共生や適切な利用方法を踏まえてクマが下を通れる方法を取り入れた。入山者がクマに配慮しつつ安心して尾瀬を楽しめるようになってもらいたい」と効果に期待している。
 この日、クマ対策の木道を初めて歩いた金井百合子さん(54)=前橋市上細井町=は「湿原の中に人工的な建造物があるのでなんだろうと思った」と最初の印象を語り、「もともと人間の土地ではないのだから、自然に配慮した取り組みでいいことだと思う。クマとも仲良くしないとね」と、新しい木道を見詰めた。