無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 《ぐんま百名山》 皿伏山 1917メートル・片品村 尾瀬の奥深さ知る 百花繚乱の季節
2008/07/15掲載
山容はその名の通り、皿を伏せた形。尾瀬沼北岸から仰ぎ見ることができる
山容はその名の通り、皿を伏せた形。
尾瀬沼北岸から仰ぎ見ることができる

 ワタスゲ、レンゲツツジ、ニッコウキスゲ―。七月の尾瀬は百花繚乱(りょうらん)の季節を迎える。雪解け水が尾瀬ケ原、尾瀬沼を潤し、誘われるように多くのハイカーでにぎわう。そんな尾瀬には「ぐんま百名山」が四座ある。至仏山(二、二二八メートル)、笠ケ岳(二、〇五八メートル)、景鶴山(二、〇〇四メートル)―。そしてもう一つが、あまり知られておらず、訪れる人も少ない皿伏山(一、九一七メートル)だ。静寂に包まれた“尾瀬の別天地”を全身で感じてきた。
 大江湿原から沼尻へ向かう途中、尾瀬沼の向こうに、その名の通り皿を伏せたような平らな形の山を仰ぎ見ることができる。楯状(たてじょう)火山と呼ばれる形状で、粘り気の少ない溶岩が四方に流れ出してできた山だという。

◎厳しい急登の「十二曲がり」
 皿伏山へは、富士見峠から白尾山(二、〇〇三メートル)を経るルートと、尾瀬沼沿いから南西に折れ、大清水平を経るルートがある。今回は同日中に尾瀬ケ原まで行く予定だったので、尾瀬沼から山頂までを往復することにした。
 まず、大清水から三平峠へ向け出発。何度登っても、つづら折りの急登「十二曲がり」はきつい。三平下の分岐で沼尻方面を選び、沼沿いの木道を行く。二十分ほどで富士見峠との分岐に出るので、同峠方面へ向かう。

静かな湿原が広がる大清水平。すれ違う人はほとんどいない
皿伏山山頂。道標があるのでそれとわかるが、狭くて視界も悪い
静かな湿原が広がる大清水平。すれ違う人はほとんどいない
皿伏山山頂。道標があるのでそれとわかるが、狭くて視界も悪い

 まず、大清水から三平峠へ向け出発。何度登っても、つづら折りの急登「十二曲がり」はきつい。三平下の分岐で沼尻方面を選び、沼沿いの木道を行く。二十分ほどで富士見峠との分岐に出るので、同峠方面へ向かう。
 五分ほどの急登が終わると、ひんやりとした針葉樹林が続く。苔(こけ)むした倒木や、清浄な空気が太古の森の雰囲気を醸し出している。踏み跡がわかりにくいので、テープやリボンを見失わないように歩く。残雪の脇でミズバショウがみずみずしい花を咲かせていた。
 二十分ほど歩くと、急に視界が開け、緑の湿原が広がっていた。大清水平だ。ワタスゲが風に揺れている。下に目をやれば、タテヤマリンドウ、ヒメシャクナゲ、イワカガミ、チングルマ……。すれ違う人もなく、自分たちだけで花畑を独占していた。誰にも教えたくないような、胸躍る感情が込み上げてくる。草原を渡ってくる風に吹かれながら、おにぎりをほおばった。
 再び針葉樹林に戻り、歩くこと四十分。頭上から陽光が差し込む、箱庭のような場所に出た。そこが皿伏山山頂だった。ベンチと標識があることで、辛うじて山頂であることがわかる。

ニッコウキスゲ ヒメシャクナゲ
ニッコウキスゲ
ヒメシャクナゲ

◎山頂は狭く視界もゼロ
 山頂は狭く、視界もゼロ。思えば、ここまで一人の登山者とすれ違っただけ。団体客でにぎわうイメージの強い「尾瀬」とは思えないほど、静かな山だった。いつもとは違うところに少しだけ足を踏み入れただけなのに、全く違う世界が広がっている。尾瀬の奥深さを知った山行だった。








ヒツジグサ
ヒオウギアヤメ
タテヤマリンドウ
ヒツジグサ
ヒオウギアヤメ
タテヤマリンドウ


モウセンゴケ
オオバタチツボスミレ
チングルマ
モウセンゴケ
オオバタチツボスミレ
チングルマ


イワカガミ
ミズバショウ
イワカガミ
ミズバショウ