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 湿原守れ シカ対策 尾瀬に柵初設置 進路を阻み捕獲
2008/11/07掲載
奥鬼怒林道に沿って建設が進むシカ対策用の柵
奥鬼怒林道に沿って建設が進むシカ対策用の柵

 尾瀬国立公園の湿原でシカの食害が深刻になっている問題で、環境省は六日までに、シカ対策の一環として、片品村戸倉の奥鬼怒林道沿い三・七キロに試験的にネット状の柵を張り巡らせる作業を開始した。初冬に尾瀬沼地域から南下する一部のシカの進路を阻み、狩猟やわなによる捕獲効果を検証する。捕まえたシカに発信機を取り付けて移動ルートの解明にも役立てていく考え。シカの捕獲、駆除を目的に尾瀬に柵が設置されるのは初めて。
 柵は、シカが飛び越えることができないとされる二・四メートルの高さに設定した。樹脂製の支柱にネットを張り付ける構造で、栃木県の日光・戦場ケ原のシカ対策で実績のある材料を採用した。建設費用は約三千八百万円で十一月中旬に完成する見込み。
 また、狩猟による効果を高めるため、中間部分を山の斜面とは反対側に湾曲させた構造にして、山から下りてきたシカを一カ所に追い込みやすくした。狩猟が解禁される十一月十五日以降に、片品村や福島・桧枝岐村の猟友会に委託して駆除に乗り出す。
 柵は、来年春以降も継続して設置する方針で、積雪への耐久性や効果を確かめる。春以降に尾瀬に向かうシカの移動抑止効果なども観測する。
 尾瀬では、ニッコウキスゲの花芽やミツガシワなどの植物がシカに食べられたり、湿原への「踏圧」「掘り返し」などが問題になっている。
 環境省によると、一九九八年に最大二百五十七頭と推定された尾瀬のシカは、二〇〇七年には約二倍の五百二十四頭に増加。数年後には千頭に達するとの予測もあり、抜本的な対策が求められている。
 このため同省は昨年度、尾瀬でシカの駆除は行わないとする方針を転換。片品村の猟友会に委託して、大清水入山口近くの山林で九頭のシカを駆除したほか、今年は福島県桧枝岐村で、同県と環境省がわなを設置して十五頭を駆除した。
 尾瀬沼に接する大江湿原や尾瀬ケ原での防護柵設置も検討しており、今回得られたデータも活用していくことにしている。