無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 《尾瀬に輝く パークボランティアの1年(5)》 頭数調査 シカが活動する夜間に
2008/12/29掲載
深夜の尾瀬で行われるシカの頭数調査
深夜の尾瀬で行われるシカの頭数調査

 「ヒュイーヨー」。秋の気配深まる九月下旬の尾瀬ケ原。闇夜の奥からシカの声が響く。すぐに別の場所からもシカの声。尾瀬ケ原を挟んでまるでシカ同士が呼び合っているかのようだ。
 パークボランティアは、大江湿原など尾瀬沼周辺と尾瀬ケ原で定期的にシカの頭数調査を実施している。分布や頭数、雌雄、確認場所、時間などを記録することで、今後の対策に役立てるためだ。
 調査はシカの動きが活発になる夜間にライトを使って行う。尾瀬ケ原では、片品村の山ノ鼻地区から福島県桧枝岐村の見晴地区までの区間約六キロを、クマの気配に注意しながら、約三十カ所で実施している。
 「ライト照らします」。照明担当の掛け声と同時に、メンバーは光の先に視線を集中する。“勝負”は一瞬。林の中でシカの目が光った。「いました。メスが一頭、横には子ジカもいる」。頭数や雌雄、位置情報を記録係がノートに集計。こうした作業を繰り返し、調査を終えた時には午後十一時半になっていた。
 パークボランティアについて、環境省の速水香奈尾瀬自然保護官は「それぞれの人が問題意識を持って取り組んでくれている。尾瀬は広く、適正な管理や調査活動には無くてはならない存在」と感謝している。
(おわり)
 この連載は尾瀬支局の霜村浩が担当しました。