無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 尾瀬入山にエコ車両
2011/05/27掲載

 幅広く尾瀬の魅力に触れてもらい、利用分散化を図るため、県と片品村は本年度、尾瀬入山口の車両通行を禁止している区間で新たな交通体系を試行する。村は「富士見下―富士見峠間」(6・3キロ)で入山に支援が必要な障害者らを対象に低公害車を運行。県は「大清水―一ノ瀬間」(3・2キロ)にマイクロバス型の電気自動車を走らせ、車両を規制して鳩待峠を「車のない状態」にする。26日に開かれた尾瀬国立公園協議会で、自動車利用やバリアフリー化など尾瀬全体の在り方を検討する試行として条件付きで認められた。

 片品村は6月26日から10月中旬にかけて月に1〜3回、最大10人乗りの低公害車を同村戸倉の駐車場と富士見峠間で運行する。対象は障害者手帳を交付されている人や要介護認定者、医師の診断で歩行介助が必要と認められた人。有料で介助者同伴を基本とする。尾瀬の知識を持つガイドが同行し、介助者が複数必要な場合は関係者で対応する。
 途中に数段の階段があるが、富士見峠から木道を歩いて15分程度で行けるアヤメ平周辺を散策してもらう。至仏山、燧(ひうち)ケ岳などの山々や池塘(ちとう)を見ることができ、尾瀬の雰囲気を味わえるという。
 県は、紅葉の時季の10月に1週間程度、砂利道が続く大清水―一ノ瀬間で20人乗り電気自動車を運行。アクセス時間の短縮により、入山口の分散化や尾瀬ケ原から尾瀬沼への回遊型利用の促進、滞在時間の増加に効果があるか調査する。
 鳩待峠にある第1駐車場では業務用を含めた車両の乗り入れを規制。将来、「車のない鳩待峠」の期間拡大や通年マイカー規制を段階的に導入するための検討資料とする。
 国立公園協議会は、村の計画に対して、募集人数や障害者らの安全対策、トイレ利用など快適性について再検討の必要性を指摘。県の計画には、協議会の小委員会で詳細について議論を深めることを確認した。
 尾瀬の入山者は近年、30万人台で推移しているが、大清水口の利用者が5・5%、富士見下口は1%未満に対し、鳩待峠口は56・2%(昨年)を占め、入山口の一極集中が問題になっている。利用の分散化や新たな尾瀬の魅力づくりを図るため、2009年の尾瀬サミットで片品村の千明金造村長が車両規制の緩和を要望していた。