無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 尾瀬に外国人誘客 大沢知事 世界遺産と一体PR 3県サミット
2014/09/03掲載
侵入防止のネットを張る山小屋関係者ら
尾瀬サミットであいさつする大沢知事(中)

 群馬、福島、新潟3県の関係者らが尾瀬国立公園の課題を話し合う「尾瀬サミット」(尾瀬保護財団主催)が2日、片品村内のホテルで開かれ、大沢正明知事は尾瀬への外国人旅行者誘致に取り組む考えを表明した。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録や2020年の東京五輪開催で訪日外国人の増加が見込まれる中、温泉や景勝地など本県の観光資源と一体的に尾瀬の自然をアピールする。公園内の標識も多言語の表示に切り替えるほか、外国人向けに利用マナー・ルールの周知を徹底し、保全と観光振興の両立を図る。
 昨年1年間の県内に宿泊した外国人は、延べ10万8千人(観光庁調査)で前年比で5割以上伸びている。尾瀬を訪れた外国人数の調査結果はないが、尾瀬山小屋組合によるとここ数年、アジア圏からの来訪者が増えているという。
 さらに、6月には絹遺産群が世界遺産に登録され本県への関心が高まっており、「尾瀬を製糸場や温泉と一体に位置付け」(大沢知事)、外国人を呼び込みたい考え。20年の東京五輪も立地面で本県に有利とみて取り組みを強化する。
 尾瀬保護財団は英語、ハングル、中国語(簡体字、繁体字)のハイキングガイドを作りホームページでも公開しているが、公園内は日本語表記の標識しかない。環境省は来年度予算の概算要求で国立公園内の標識多言語化など外国人対応を盛り込んでいる。財団は同省と協議し標識に英語や中国語を併記する方針だ。
 一方、サミットでは貴重な自然を守るため、湿原への立ち入りや植生の採取、ごみの投げ捨てといった禁止行為を周知する必要性も指摘された。
 泉田裕彦新潟県知事は、公共交通やツアーバスで訪れる外国人が多いことから、「交通機関内で自然保護の歴史や利用マナーを案内する仕組みを作っては」と提言した。大沢知事は、富岡製糸場で導入された外国語の音声ガイド機やスマートフォンで利用できるガイドの活用に言及。尾瀬周辺は携帯電話が通じないため、Wi―Fi(ワイファイ)など公衆無線LANサービスの整備も今後の議論の対象となりそうだ。
 植生被害の対策については、シカの捕獲に広域で対処することを確認した。大清水口で試験運行している低公害車両の本格運用など入山口の分散対策についても話し合った。
 同財団が来年、設立20周年を迎えることから、シンポジウムや記念誌発行などの行事を計画していることが報告された。