無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 暖冬で異変?夏の渇水懸念 降雪量最低、花の見頃早まる…
2016/5/14掲載
ミズバショウが咲く尾瀬ケ原。例年より早く花の見頃を迎えている=12日
ミズバショウが咲く尾瀬ケ原。例年より早く花の見頃を迎えている=12日
 記録的に暖かく、スキー場が雪不足に悩まされた今冬。立夏を過ぎ、冬の余波とみられる自然の異変が県内で目立っている。集客を見込んだ花の名所で見頃が早まり、夏場の渇水が懸念される。人知が及ばない自然。梅雨や夏に向かって、想定を超えるのか―。

◎「地面が見える」
 尾瀬山の鼻ビジターセンター(片品村)の開所式を16日に控えた尾瀬国立公園。鳩待峠口と山ノ鼻を結ぶ入山ルートの木道周辺は例年、式後も雪があるが、今年はもうない。5月下旬から見頃となるはずのミズバショウは既にピーク。尾瀬保護財団は「(入山ルートに)この時季に地面が見えるほど雪がないのは聞いたことがない」(担当者)とし、ミズバショウの開花は2〜3週間早いとしている。
 国土交通省によると、尾瀬沼や藤原ダム(みなかみ町)の今冬の降雪量は観測史上最低。尾瀬沼での累積降雪量は892センチと例年の6割で、いつもより約1カ月早い4月28日に雪がなくなった。
 つつじが岡公園(館林市)のツツジは見頃が1週間から10日早まった。4月上旬から好調だった客足は大型連休まで続かず、有料期間(4月11日〜5月5日)の入園者は前年を7千人ほど下回る約9万4千人にとどまった。

◎ダム放水5割多く
 国交省関東地方整備局は「今後の雨の降り方によっては、水の需要期の夏に渇水になる可能性がある」と警戒する。利根川上流8ダムの貯水量(12日時点)は4億1345万立方メートル、貯水率は90%でほぼ例年並みだが、早い雪解けで川の水が少ないため、4月の放水量は例年より5割多い825万立方メートルに上った。
 みなかみ町のラフティング業者「マックス」の橋本学代表は「今の利根川の水位は2・5メートルぐらい。例年の約4メートルよりだいぶ少ない」と先行きを心配する。
 前橋地方気象台は「山間部で降雪量が少なかったのは、冬型の気圧配置が長続きしなかったのが要因」と説明。昨年12月〜今年2月の前橋の平均気温は平年より1・4度高い5・9度で、2006〜07年と並んで最高だったとしている。
 気象庁の3カ月予報によると、5〜7月の関東甲信の降水量は「平年並みか平年より多い確率がともに40%」。同庁は南米ペルー沖の海面水温が下がる「ラニーニャ現象」が夏に発生する可能性が高いとする。前回ラニーニャが発生した10年は、全国的に記録的な暑さに見舞われた。県議会は26日開会予定の第2回定例会から、地球温暖化などをテーマにした特別委員会を設置し、対策を議論していく方針だ。