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 生物多様性で新戦略 県、ぐんまモデル目指す 尾瀬、渡良瀬遊水地、芳ケ平…
2017/01/31掲載
 多様な生態系の維持に向け、県は30日、「生物多様性ぐんま戦略」の素案を県自然環境保全審議会自然環境部会に示し、承認された。県内3カ所のラムサール条約湿地(尾瀬、渡良瀬遊水地、芳ケ平湿地群)や各地に残る豊かな自然を、活用しながら守る「保全と利用の好循環」の創出といった五つの戦略目標を立て、「ぐんまモデル」を打ち出すことを目指す。

 戦略の計画期間は2017〜26年度で、県は県議会の議決を経て、年度内に戦略を正式に策定する考え。
 「保全と利用の好循環」は観光や地域振興につながる施策の展開や、湿地帯や県立公園などの適正利用、県民理解が深まることと定義。尾瀬などを念頭に、里山や平地林も含めて本県独自の取り組みを進め、「モデル」に仕立てるとした。@県民の行動と参加を広げるA生態系の劣化を食い止めるB科学的知見に基づく中長期課題の検討C継続的な取り組みへ体制整備―も戦略目標に掲げている。
 多様な生態系を維持し、将来世代に引き継ぐには、長期的な保全の取り組みが不可欠として、行政と民間の役割を示し、全県で取り組む必要性を訴えている。
 地球温暖化に伴う気候変動や、乱獲で絶滅の危機にひんする動植物が相次ぐ中、保全や持続可能な利用の推進に関する「生物多様性条約」が1993年に発効。国は2008年に施行された生物多様性基本法に基づき、国家戦略を策定した。地方版の戦略づくりは都道府県の努力義務となっている。戦略策定に向け、県は本年度、県内5カ所で県民ミーティングを開いたほか、環境関係団体や事業者らを対象にしたアンケート、有識者のヒアリング調査を実施した。

◎県民の理解促進に力
 生物多様性ぐんま戦略で、活用しながら守る主な対象とされた「ラムサール条約湿地」の尾瀬(片品村など)、渡良瀬遊水地(板倉町など)、芳ケ平湿地群(中之条町、草津町)は貴重な動植物が生息するなど国際的基準を満たす。県は「尾瀬学校」と称して、小中学生が尾瀬を訪問する際のバス代を補助したり、芳ケ平でも現地案内のガイド養成に取り組むなど近年、県民が自然環境について理解を深める場となるよう力を入れている。
 国内の自然保護運動の先駆けとなったことでも知られる尾瀬は、日光国立公園から分離・独立して8月で10年になる。尾瀬保護財団は新年度から、65年ぶりの基礎研究を含む第4次尾瀬総合学術調査に乗りだす方針。節目の年に際し、自然保護への関心がさらに高まることが期待される。