無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 《守る生かす 尾瀬国立公園10年(4)》教育 視野広げる自然体験
2017/08/29掲載
10年目を迎えた尾瀬学校。子どもたちは尾瀬でしかできない自然体験を通じて環境について学んでいる
10年目を迎えた尾瀬学校。子どもたちは尾瀬でしかできない自然体験を通じて環境について学んでいる
 「シカのヌタ場についてどう思いますか」。湿原がパノラマに広がる尾瀬ケ原の牛首分岐。ベンチで休憩する児童たちに女性ガイドが話し掛けた。「シカに別の場所を用意してあげたらいい」「おりを作る」―。素直な言葉が飛び交った。
 尾瀬では毎年6〜10月、こうした“青空教室”が繰り広げられる。初めて尾瀬に入った前橋総社小6年の小野沙蘭さん(12)は「植物の種類がたくさんあってすごかった。自然のことをもっと知りたくなった」と目を輝かせた。
 本県の小中学生が尾瀬の貴重な自然の中で保護の取り組みを学び、郷土愛を育む尾瀬学校は、大沢正明知事の肝いりの施策として2008年度に始まり、16年度までに計約9万4千人が尾瀬を訪れた。
 13年度に最多の157校計1万1561人が参加したが、地理的要因や別の自然体験学習の実施などを背景に減少が続き、16年度は133校の計9495人にとどまった。
 県は市町村教委や校長会に出向いたり、1度も参加していない学校を訪問するなどして、参加を促している。尾瀬保全推進室は「尾瀬は群馬にとって特別であり、教育的効果があることを訴えていきたい」としている。
 一方、ガイドの質を高めることで参加者を増やそうと、尾瀬ガイド協会群馬支部とガイド向けのハンドブック作りに着手した。剱持雅信支部長(53)は「年齢に応じた説明や接し方など、参加者の興味を引き出す努力がガイドに必要」と強調する。
 数字では測れない“効果”も現れている。沼田薄根中の生徒だった時に参加した看護師の北沢桐利子さん(22)=前橋市=は「広大な湿原に感動し、ガイドの説明が興味深かった。今でも訪れるのは初めての尾瀬の印象が良かったから」と話す。
 旧片品北小時代に参加した松浦隆介さん(21)は、その後の進路に大きく影響した。尾瀬のガイドを目指して尾瀬高に進み、現在は新潟大で環境保護を学ぶ。「尾瀬は実際に行かなければ分からないことが多い。単に自然を観察する場ではなく、人間的な視野を広げることができる」と実感を込めて語る。

◎あの日の紙面
 県は新年度、県内の子ども全員が義務教育期間中に最低1回、尾瀬の自然に触れることを目指した「尾瀬学校」事業を始める。(略)貴重な高山植物や野鳥、動物などを観察したり、山小屋のし尿・ごみ処理の工夫、尾瀬の成り立ち、ごみ持ち帰り運動の歴史などを学習する。
(2008年2月6日付上毛新聞)