◎村の財産
今年2月。計5回目の審議会。ようやく全会一致で「保存計画」の案がまとまり、建物を修理する際は「昔の姿」に近づけていくことになった。ビルや住宅が建てては壊される都市部とは一線を画し、重伝建の集落として生きていく住民の決意表明となった。
国の文化審議会が今月21日、「赤岩地区の重伝建選定を」と答申した。吉報はすぐに村じゅうを駆け巡った。
「住民の結束があったからこそ、県内初の重伝建になれた。本当に良かった」。地元代表として審議会委員を務めた篠原辰夫さん(66)は満面の笑みを見せるが、気は緩めていない。「やっとスタート位置に立った。本当に大事なのはこれから。景観を守りつつ、住民の生活も守る。それをこの先ずっと続けていくんだ」。落ち着いた言葉の端々に、強い意欲がみなぎっている。
六合村赤岩地区が県内初の重伝建選定の答申を受けた。山あいの静かな農村。立ち並ぶ古い養蚕家屋や蔵。日本全国で姿を消しつつあるものが、一つの町並みとして残り、本県が今も昔も全国有数の養蚕県であることを伝えている。第五部では重伝建に向けた住民の取り組みを追い、人々の思い、地区の将来像などを探る。
◇重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)
歴史ある建物と町並みを一体として、現代的な生活に活用しながら保存する仕組み。市町村が地区を決めて条例と保存計画を作成し、国が選定する。1975年に制度がスタート。これまでに門前町や武家町、宿場町など全国78地区(六合村赤岩地区など官報告示待ち5地区含む)が選定を受けている。地区内の伝統的建物と敷地は、固定資産税や相続税などの優遇措置を受けられる。建物を修理する際は国や自治体から補助を受けられるが、新築や改築、解体には制限も加わる。 連載は文化生活部・斉藤洋一が担当します。
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