◎家への思い
「人間が生活する家で、こんな大きな家は必要ない。養蚕をするために造った当時の工場」と田島善一さん(80)は、黒くすすけた天井を見上げた。田島さんの家は間口23メートル、奥行き13ートルの総2階、建物の総面積は約600平方メートルになる。「この家で生活できるうちは壊す必要はないが、維持できなくなれば仕方ない」と静かに話した。
百44年前に建てられた家に住むぐんま島村蚕種(さんたね)の会会長の田島健一さん(76)は、みんなの思いを代弁するように語った。「家は残した方がいいに決まっている。でも持ちこたえていくのは容易なことではない」
養蚕農家の老朽化とともに、家を引き継ぎ、守ってきた人たちの高齢化が進む。農家の保存・活用を探る資料とする蚕種の会の建物調査は始まったばかり。時間は容赦なく過ぎて行く。
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