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伸び放題の桑畑を整備し、20年ぶりの養蚕復活に乗り出す六合・赤岩の住民
伸び放題の桑畑を整備し、20年ぶりの養蚕復活に乗り出す六合・赤岩の住民

20年ぶり養蚕復活 世界遺産候補六合・赤岩 歴史生かし“絹の里”PRへ
掲載日・2007/02/12
 養蚕で栄えた特徴を残す山村集落として、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定され、世界遺産候補地の一つとなっている六合村赤岩地区が今年、二十年ぶりに養蚕を復活させる。地元住民全員でつくる赤岩ふれあいの里委員会が桑畑を造り、使われていない小屋を「蚕室」に改装して養蚕経験のある有志が共同で飼育作業にあたる。養蚕にまつわる住民の記憶を掘り起こすとともに、訪問者が蚕や繭に触れられる“絹の里”として観光面でのPRに結びつける。

 赤岩地区は江戸時代から昭和にかけての民家五十戸が立ち並ぶ集落。蚕を飼う空間を広くするため、母屋は切り妻造りの総二階建てで、一階よりも二階が張り出した出梁(でば)り構造の家屋が多いなど、養蚕を行った形跡をよく留めている。昨年七月に本県初の重伝建に選定され、今年一月には文化庁が赤岩地区を含む「富岡製糸場と絹産業遺産群」を世界遺産登録の候補地「暫定リスト」に記載することを決めている。
 ところが赤岩地区で実際の養蚕が行われたのは一九八七(昭和六十二)年ごろまで。輸入生糸の増加による国産生糸価格の低迷で、農家はコンニャクなどの畑作へ転向した。重伝建選定を機に、住民の間から「養蚕の風習を見直し、観光に活用しよう」という声が上がっていた。
 同委員会は三月、集落の北に三十年以上放置され、伸び放題になっている桑の木を切りそろえ、飼育に適した葉の収穫を開始する。さらに、集落東の別の畑に、桑の苗五百本を植え、二、三年後の増産を目指す。
 蚕の飼育は六、七月ごろに始める予定。飼育する場は、集落中央にあり、かつて住民が小さな蚕を共同で育てた旧稚蚕飼育所。ここでの作業を通して、住民が地域の歴史、風土を再発見するきっかけにする。
 飼育は住民だけでなく、一般から希望者を募って一緒に体験してもらうことも検討している。
 飼育する蚕は少量に留め、収穫した繭は地元住民が織物や手芸などに活用する。
 桑用の畑を提供する安原繁安さん(74)は「昔は養蚕が貴重な現金収入だった。養蚕を再開することで、村の歴史を思い出すきっかけになってほしい」と話している。

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