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 旧富岡製糸場など絹産業遺産群について語り合ったシンポジウム
旧富岡製糸場など絹産業遺産群について語り合ったシンポジウム

「先人の精神性重視を」 蚕糸業の功績も指摘 富岡で産業遺産シンポ
掲載日・2007/07/18
 高崎経済大主催のシンポジウム「群馬の産業遺産と富岡製糸場の意義」が十七日、富岡市社会教育館で開かれた。産業遺産の専門家や歴史研究者らが壇上に上がり、本県の絹産業遺産群について「富岡製糸場が残っているのは奇跡」「先人の精神性も重視すべきだ」などと意見を述べ合った。

 産業考古学会の玉川寛治会長が基調講演。シンポジウムでは玉川会長と今井幹夫・富岡市立美術博物館長、宮崎俊弥・前橋国際大教授、原田喬・東京国際大非常勤講師、山崎益吉・高崎経済大教授の五人がパネリストとなり、大島登志彦同大教授がコーディネーターを務めた。
 玉川会長は講演で、全国の養蚕農家数が二百二十一万戸(一九二九年)、製糸場が四十万戸(〇六年)、製糸業の労働者数が五十五万人(二四年)などのデータを列挙し、「国を挙げての大産業だった。蚕糸業の発展によって、農村にも文明開化が訪れた」などと、蚕糸業が果たした役割の大きさを指摘した。
 シンポジウムでは、山崎教授は「富岡製糸場所長の尾高惇忠、工女の和田英らの優れた精神性も含めて世界に訴えていくべきだ」、原田さんは「世界遺産登録が終点ではない。研究すべき絹の遺産や先人の歴史はまだまだあり、登録後にも価値を膨らませなくてはならない」などと語った。
 会場には客席数を上回る百人以上の聴衆が訪れ、パネリストの言葉に熱心に耳を傾けていた。

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