上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

シルクカントリー群馬
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シルクカントリー群馬イメージ

《シルクカントリーin赤岩》 六合 絹 営み豊か
掲載日・2007/08/26
 山村ではぐくまれた絹の文化に触れる「シルクカントリーin赤岩」(県、フィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」推進委員会など主催)が26日、六合村赤岩の村保健センターを主会場に開かれた。最終日となる同日は、散策しながら俳句を詠む俳句ラリーや入船亭扇橋さんらが出演した「赤岩寄席」、上州座繰り体験などが行われた。イベントを通して、来場者は絹の営みの豊かさをあらためて感じていた。

赤岩集落を散策しながら句作に取り組む俳句ラリーの参加者
赤岩集落を散策しながら句作に取り組む俳句ラリーの参加者

◎俳句ラリー
 俳句ラリーには三十六人が参加し、赤岩地区の自然や古民家などを題材に、思い思いの句をひねった。
 参加者は村保健センターで受け付け後、同地区内の二カ所のチェックポイントを巡りながら、百年以上の歴史を持つ養蚕農家家屋やこけむした石垣、お堂などを、表や裏からじっくりと観察した。
 同地区住民が二十年ぶりに再開した養蚕の様子を見ると、「繭の里」「桑食はむ音」などの言葉をメモ帳につづった。一巡りすると木陰で休憩し、メモの言葉を五・七・五にまとめ、一人三句まで投句した。
 落語家で俳人の入船亭扇橋さんと、俳人協会県支部長の蟻川玄秋さんが選考し、「絹の国俳句ラリー大賞」は奥木温なほ子さん(73)=中之条町=の「水引草鞭しなやかに絹の里」に決まった。
 表彰式で扇橋さんは「蚕が糸をはく様子を細やかに観察した句があり、私も田舎で育ったことを思い出した」などと講評した。
 大賞以外の入賞者は次の通り。
 ▽入船亭扇橋賞 関口隆司(中之条町)▽県知事賞 野中のり子(前橋市)▽六合村長賞 高階和子(高崎市)▽県俳句作家協会長賞 竹内芳子(東吾妻町)▽俳人協会県支部長賞 古川陽子(前橋市)▽上毛新聞社長賞 安原みか(六合村)▽機音賞 土沢正治(富岡市)関口都亦絵(中之条町)原沢秀夫(同)篠原栄月(同)福嶋ふさ子(同)斎藤順子(吉井町)中沢清(六合村)高橋成知(渋川市)宮川均(安中市)三宅深夜子(横浜市)

わらで編んだ「まぶし」を手に取って見る来場者 座繰り器の操作に挑戦する来場者
わらで編んだ「まぶし」を手に取って見る来場者               座繰り器の操作に挑戦する来場者

◎座繰り体験 まぶし作り
 “養蚕の里”をPRする多彩なイベントで、赤岩地区はこの日も多くの人でにぎわった。
 稚蚕飼育所で行われた上州座繰り体験では、スタッフが来場者に繭から糸を取り出す作業を指導。座繰り初挑戦の安中市の須藤安子さん(56)は「柔らかくてぬくもりのある糸ができた」と笑顔で話し、精密な動きで糸を巻き上げる伝統の機械に感心していた。
 養蚕で栄えた時代の特徴を残す木造三階建ての関駒三郎さん(75)宅では、養蚕の道具として使っていた「わらの改良まぶし」作りを関さんが実演。訪れた人は、専用の道具を使って巧みに編み上げていく技に見入った。
 養蚕のために建物が工夫されている説明を聞いた大泉町の拝嵜そよ子さん(57)は「知恵をしぼった道具や建物は、すごい財産」と話していた。

熟練した話芸で大勢の人たちを楽しませた入船亭扇橋さん
熟練した話芸で大勢の人たちを楽しませた入船亭扇橋さん

◎赤岩寄席
 「赤岩寄席」が行われた村保健センターには、赤岩地区内外から大勢の人が集まり、入船亭扇橋さんによる「田能久(たのきゆう)」など、落語家三人が繰り広げる話芸を楽しんだ。
 出演したのは、扇橋さんのほか、五街道雲助さんと入船亭遊一さん。三人は、来場者の期待を裏切らず、笑いの渦を巻き起こしていた。
 寄席に先立ち、扇橋さんは地区内を見学し、養蚕体験のイベント会場にも足を運んだ。約六十年ぶりに蚕を触った扇橋さんは「冷たくて気持ちがよかった。昔を思い出した」と満面の笑み。絹産業遺産群を後世に残そうとする本県の動きについて「とても素晴らしい。ぜひ頑張ってもらいたい」とエールを送っていた。

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