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前橋市蚕糸記念館に保管されている養蚕に関係する用具
前橋市蚕糸記念館に保管されている養蚕に関係する用具

蚕糸道具にも光 前橋市収集 633点、登録有形民俗文化財に 文化審答申 棚、かごから大型機械まで
掲載日・2008/01/19
 国の文化審議会(石沢良昭会長)は十八日、前橋市敷島町の市蚕糸記念館に保管されている「前橋の養蚕・製糸用具及び関連資料」を、国の登録有形民俗文化財=豆字典=とするよう渡海紀三朗文科相に答申した。同文化財は本県初で、官報告示を経て正式登録となる。旧官営富岡製糸場など絹産業にまつわる建物の世界遺産登録運動が高まる中で、蚕糸業の発展を支えた「道具」にも価値評価の光が当てられた。

 同資料は養蚕と製糸の用具四百五十一点と、関連資料百八十二点の計六百三十三点で構成している。養蚕用具は蚕を飼う棚、桑の葉を入れるかごなど蚕のふ化から繭の収穫までに使う一式。製糸用具は手回しで繭から糸をひく上州座繰り器から、製糸工場で使われた大型の機械まである。
 関連資料として、養蚕農家が繭の豊作を祈願したお札や、同市内にあった国立原蚕種製造所が使った専門的な研究器具もそろっている。
 前橋市は古くからの養蚕地域であり、明治以降は製糸場がたち並ぶ「糸の街」として栄えた。こうした歴史から、同市は市内の養蚕農家や製糸場で使っていた用具を収集し、敷島公園内の市蚕糸記念館で展示、紹介してきた。現在、同公園内の同館周辺は「全国都市緑化ぐんまフェア」に向けて改修中で見学できないが、三月末には再び公開する予定。

◎豆字典
 登録有形民俗文化財 文化財保護法が二〇〇四年に改正され、〇五年に施行されたことで創設された新しい文化財の枠組み。価値評価が定着していないために従来の指定文化財の対象にはならないものの、放置しておくと消滅してしまう可能性が高い物件などに、保護の範囲を広げることが狙い。
 所有者にとっての登録の利点は、物件の価値を公的に認めてもらい、存在を広く知ってもらえること。維持管理や修理に対する補助は、一部を除いて行われない。
 これまでに登録されたのは埼玉・狭山茶の生産用具、沖縄・竹富島の生活用具など六件だけ。

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