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桐生市が重伝建を目指す本町一、二丁目
桐生市が重伝建を目指す本町一、二丁目

織物遺産重伝建に 地元意向受け着手 本町一、二丁目 まちづくりの核に 桐生市
掲載日・2008/01/26
 桐生市は、古い民家や織物工場跡などが残る桐生市本町一、二丁目の、国による重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)=豆字典=選定に向けた手続きと、住民の重伝建を核にしたまちづくり支援に着手する。関連事項を専門に扱う部署を新設し、新年度から必要な手続きを進める。本町一、二丁目が重伝建選定されれば、県などが世界遺産登録を目指す「絹産業遺産群」に名を連ねる環境が整う。現在の遺産群は「養蚕」「製糸」が占め「織物」を欠くだけに、市の動きは登録運動に弾みを付けそうだ。

 亀山豊文市長は二月上旬、自ら文化庁に行き、重伝建選定に向けた市の姿勢を説明する。
 重伝建選定とまちづくり支援は、地元のまちづくり組織「本一、本二まちづくりの会」(森寿作会長)が昨年実施した意識調査で、居住者と土地建物権利者の76%が重伝建選定に賛同したことを受けた対応。市はすでに県文化課などと意見交換し、今後の課題などを絞り込んでいる。
 重伝建を専門に扱う部署は、所属長に課長クラスを据え、都市計画、文化財、予算、人材などの関係部課のまとめ役を担う。重伝建選定を目指した市条例の制定や、都市計画にかかわる調整、住民との連携などを進める。
 本町一、二丁目には江戸から昭和にかけての民家や商家、織物工場跡などが残り、路地裏を含めて桐生天満宮から発展した地割りなどが良好に保存されている。
 市は同地域の重伝建選定を核にしたまちづくりを、桐生の魅力を保存する最重要課題に位置づけている。市内の政財界からも、桐生の産業遺産を生かして観光や産業振興を進めるべきとの声が上がっており、重伝建選定への機運が高まっている。
 亀山市長は「桐生市では、歴史的な遺産を活用することが、まちの再生に確実につながると考えている。住民の意向に沿って市も積極的に役割を果たしていきたい」と話している。

◎世界遺産登録に弾み
 県が進める世界遺産登録運動で桐生市の織物産業遺産は、養蚕、製糸、織物産業が一体的に栄えた本県の「絹産業遺産群」を完結する産業遺産として重要な位置を占める。世界遺産は「国の保護物件」が前提条件。本町一、二丁目が重伝建の選定を受けることは、桐生に残る古いまち並みが同登録運動の資格を満たすことを意味している。
 昨年一月、文化庁の世界遺産登録の国内候補地暫定リスト入りした「富岡製糸場と絹産業遺産群」は県内十カ所で構成されている。このうち同製糸場は国史跡、国重要文化財の二重指定を受け、富沢家住宅と碓氷峠鉄道施設が国重要文化財、薄根の大クワが国天然記念物、赤岩地区養蚕農家群が重伝建となっている。
 暫定リスト記載に際し、文化庁は今後の課題として「絹紡績や絹織物などの遺産や隣接県の関連遺産と比較し取り込む検討」を求めていた。県との共同提案を昨年は見送った桐生市が、本町一、二丁目の重伝建選定を目指す姿勢を鮮明にしたことは、「世界遺産登録運動にも大きなインパクトを与える」(県世界遺産推進室)ことになる。

◎豆字典
 重要伝統的建造物群保存地区 歴史ある建物と町並みについて、国が実際の生活の舞台のまま保存する取り組みを進める地区として選定する。文化財保護法の改正で1975年に制度化された。指定を受けると、対象となる建物の修理などに対して、国の補助が受けられる。本県では2006年7月に養蚕農家などの建物が残る六合村赤岩地区が選定された。

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