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シルクカントリー群馬
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全体の公開検討 市が保存管理計画 建造物など順次修理 富岡製糸場
掲載日・2008/04/17
 富岡市は、国史跡・重要文化財(建造物)の旧官営富岡製糸場の保存管理計画を策定した。建築年代や機能に応じて建物を「保存」やゆるやかな保存措置を施す「存置」などに大別。地下遺構、機械設備類などの保存方針も明示した。機械類を含む全体の公開や研究拠点としての活用を検討する。
 主な保存対象は(1)一九四五年以前の建造物(史跡の保護対象要素)や生産システムの理解に重要な建造物(2)官営期から操業停止時(八七年)までの地下遺構(3)操業停止時の機械設備類―など。
 「保存」に区分した建造物の内訳は、文化財保護法に基づいて保存する四五年以前の「第一種保存」四十六件、四六年以降で繭・糸や蒸気・水・電気に直接関連する「第二種保存」四件。第一種に国重文の東西繭倉庫、繰糸場など官営期建造物や社宅群、寄宿舎、診療所、乾燥場、煙突など、第二種に揚げ返し工場、汽缶場などを含めた。
 他の建造物も積極的には壊さず、十七件を「存置」とし、「その他」二十九件を将来の撤去も可能とした。
 建造物の修理方針は、破損状況を基に「緊急を要する大修理(半解体以上)」から「健全」まで六段階に区分。破損進行を食い止める維持修理を順次行い、健全な状態に戻す根本的な保存修理を並行して進める。
 全体整備も想定。年代は主要な建造物が完成した四三―四五年ごろで、工場として完結した姿をとどめる一方、一部は活用方法に合わせた整備を検討する。官営期建造物は当初のシステム復原のため、詳細な個別検討も行う。
 労働環境や生活、管理が分かるよう、全体を展示公開。近代産業史や絹産業を学ぶ研修・教育の場としての活用も検討する。
 計画は今後の保存管理と整備活用の指針とし、市は整備活用計画策定に着手している。世界遺産登録には遺産群の包括的な保存管理計画に併せ、構成資産個々の計画が必要とされる。

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