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桐生織塾の運営を引き継ぐ新井求美さんと同織塾
桐生織塾の運営を引き継ぐ新井求美さんと同織塾

新主宰者に新井さん 来春閉鎖の危機回避 桐生織塾 引退の武藤さん後継
掲載日・2008/11/19
 桐生市内の民家などを創作工房として貸し出す市工房推進協議会の役員会は十八日、同市梅田町の桐生織塾を主宰し、健康を理由に引退を表明した武藤和夫さん(77)=同市西久方町=の後継に、同町の塾生、新井求美さん(47)が就くことを承認した。一九八九年三月にオープンした同織塾は来春閉鎖の危機を乗り越え、新しい主宰者を迎えて、さまざまな織物や織物技術を伝える拠点としての役割を引き続き担う。

 伝統産業の保護・育成に努める同協議会はデザイナー、建築家、芸術家らに創造の場を提供するため、借り上げた家屋などを貸し出している。同織塾はその創作工房の第一号。武藤さんのコレクションである縞しま、紬(つむぎ)、絣(かすり)などの織物を核に、織物の情報や魅力を発信する企画展を開いてきたほか、織物に関心を持つ市民らに所蔵する手機機を用いて織の技術も伝えてきた。
 新井さんはテキスタイルプランナーの新井淳一さんと群馬版画家協会長のリコさんを両親に持つ。八年ほど前から塾生として武藤さんの指導を受け、縞や絣の技術を学んできた。桐生の一店一作家運動にも参加、アクセサリー作家としても活動している。
 来年三月の閉鎖が現実味を帯びる中、新井さんは「織塾を閉めるのはまずい」と後継に名乗り出た。「背負い切れない役割だが、武藤コレクションの展示に力点を置き、武藤さんの業績を紹介していきたい」と抱負を語る。
 同織塾の運営にかかわってきた同市宮本町、元桐生織物協同組合事務局長の新井巧一さん(75)は「息の長い仕事には意欲が必要。若い人が引き継ぐのは大変良い」と歓迎。武藤さんは「銘仙や絣、織物道具などのコレクションをどんどん提供したい」と話す。同協議会事務局を務める市産業経済部の高松富雄部長は「桐生織塾は二十年近い活動を通じ、織物のまちのシンボルとなった。来春の閉鎖を避けることができ、市としても新井さんを支援していきたい」としている。

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