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絹文化について話し合った座談
絹文化について話し合った座談

純国産の重要性強調 シルクカントリー双書発刊イベント 未来につなげ日本の絹 専門家鼎談継承へ知恵出し合う
掲載日2010/08/01

シルクカントリー双書発刊記念イベント「絹文化を守るために」(上毛新聞社主催)が31日、前橋市の県社会福祉総合センターで開かれた。さまざまな形で絹文化に携わる専門家を迎え、絹の素晴らしさや日本の蚕糸業を未来へつなげていくためのアイデアについて話し合った。
 始めに講演した大日本蚕糸会会頭、高木賢さん(高崎市出身)は「絹文化は需要と価格という二つの壁にぶち当たっている」とし、生活様式の欧米化に伴い和装が敬遠されるようになった上、外国産の安価な生糸や絹製品に圧迫されている現状を説明。一方で「着物は美しく手触りの良い衣類で、日本文化の一翼を担っているのは今も変わらない」と、希少価値を打ち出した純国産絹製品づくりの重要性を訴えた。
 続いて、花まゆ作家の酒井登巳子さん、座繰り糸作家の東宣江さん、県蚕糸園芸課絹主監の狩野寿作さんが鼎談(ていだん)した。
 本県産の繭を使った工芸「花まゆ」を上海万博のジャパンウイーク(6月)に出展した酒井さんは「会場で日が当たった時の繭の表情は最高に素晴らしかった。本当にこれが繭なのか、とみなさん驚かれていた」と振り返った。安中市の養蚕家屋を拠点に、座繰り製糸や養蚕に取り組む東さんは「お蚕さんを飼ったり糸を取ることで、日本人である実感を持つようになった。地域の人と手仕事の文化を伝える取り組みをしていきたい」と語った。
 座談では、酒井さんら6人が養蚕や製糸、絹加工にかかわる立場から熱い思いを披露。桐生市のニット製品メーカー「ミラノリブ」社長の笹口晴美さんは「絹ほど作り手の思いが投影される素材はない。人の心を癒やす力がある。絹を残そうという気持ちがあれば必ず道がある」と語った。
 会場には、上海万博で展示された花まゆ作品や碓氷製糸農業協同組合(安中市)とミラノリブが手掛けた絹製品などが飾られ、来場者が熱心に見入っていた。

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