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世界遺産へ4カ所除外 「法的保護が困難」と知事 登録「13年以降」に
掲載日2010/10/01

7市町村10カ所で構成される本県の世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」について大沢正明知事は30日の県議会一般質問で、「国の法的保護が困難」などを理由に、4カ所を除外して推薦書作成を進める方針を明らかにした。2012年を目指していた本登録の時期は「13年以降」に修正。03年から続く県の世界遺産登録推進は、養蚕と製糸を軸に絞り込んだ形で実現を目指していく。

候補から外れるのは旧甘楽社小幡組倉庫(甘楽町)、旧上野鉄道関連施設(下仁田町、富岡市)、薄根の大クワ(沼田市)、東谷(栃窪)風穴(中之条町)。
大沢知事は「世界遺産登録審査は年々厳しくなっており、特に複数の資産で構成する場合、個々の資産で厳密な価値の証明が求められている」と見直しの理由を説明。国内外の専門家の意見を踏まえて(1)国の法的保護が困難(2)産業遺産ではない(3)同種の資産と重複―を判断基準とした。
4資産の保存・活用を継続して支援するため、ほかの絹産業に関する遺産とともに「ぐんま絹遺産ネットワーク(仮)」を来年度にも新たに構築。世界遺産登録の推進と連動して絹文化を継承していくとした。
登録時期については、文化庁が本年度の新規登録申請を見送るといった慎重な姿勢を踏まえ、「12年の登録は断念せざるを得ない状況。13年以降の早期実現に向けて推薦書を完成させたい」と述べた。
県は昨年度から、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会に提出する推薦書を作成しており、昨年7月に発足した県世界遺産学術委員会が推薦書の骨子となるストーリー案を検討。産業遺産として高く評価されている旧官営富岡製糸場を中心に、本県の蚕糸業が世界の絹産業の発展に貢献した点を重視する方向性を決めていた。
◎関係自治体「残念」
4資産を世界遺産候補から除外する県の方針について、関係する自治体からは「残念」「やむを得ない」との声が上がった。
下仁田町の金井康行町長は「上野鉄道関連施設は歴史的にも富岡製糸場とのつながりが深い。外れるとすれば意図が分からない」と述べ、沼田市教委は「世界遺産登録に向けて市を挙げて取り組んできたので残念」とした。
登録申請の先送りについては、「登録に向けた取り組みは慎重、確実に進める必要がある。市民に富岡製糸場の価値を理解してもらう時間が増える」(岡野光利・富岡市長)と前向きにとらえる意見もあった。
構成資産に関しては、国重要伝統的建造物群保存地区選定を目指す桐生市の本町一、二丁目建造物群や、国史跡指定を目指す方針を表明した伊勢崎市の大型養蚕家屋などが新たに加わる可能性も残されている。

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