絹の物語 未来へ 「シルクカントリー in 赤岩」 世界遺産へ 赤岩の地域づくり

来場者の感想

狭く曲がりくねった道、連なる養蚕農家群、桑を食べる蚕の音―。「絹の国」の原風景が残る六合村赤岩地区で養蚕体験や寄席、俳句ラリーなどを展開した「シルクカントリーin赤岩」。来場者の目に、この地区はどう映ったのだろうか。

座繰りで糸を取り出す作業を体験する来場者
座繰りで糸を取り出す作業を体験する来場者
「赤岩寄席」で大勢の来場者を笑わせた入船亭扇橋さん
「赤岩寄席」で大勢の来場者を笑わせた入船亭扇橋さん
稚蚕飼育所で蚕を手に取る子供
稚蚕飼育所で蚕を手に取る子供

温かみある町並みに感動

 「小学生のころ、母と一緒に夜中まで蚕に桑をやった。その記憶がよみがえった」。中之条町赤坂の綿貫綾子さん(60)は養蚕農家群を眺めたり、飼育中の蚕を見て幼い日を思い出したという。「温かみのある町並みで、一軒一軒に歴史がある。すごく感動した」と言葉に力を込めた。
 赤岩地区は昨年七月、養蚕業の隆盛を象徴する「山村・養蚕集落」として、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に。今は世界遺産に向かって歩んでいる。

 気負わぬ住民の活動励み

 同様に歴史的建物を生かした町づくりを目指す桐生市の「本一・本二まちづくりの会」会長、森寿作さん(66)は「住民が生き生きとしていた。われわれの励みになり、目標になる」と、気負うことなく活動に取り組む人々に視線を向けた。  ボランティアの住民ガイドの案内を受けた高崎市浜尻町の高階宣男さん(73)は「プロのガイドのように流ちょうな話し方ではないのが、逆に素朴で良かった。それが赤岩の魅力かもしれない」と感じたという。今後については「分かる人にだけ分かる観光地であってほしい」と願った。

 気負わぬ住民の活動励み

 東京の下町の魅力を紹介する地域誌「谷中・根津・千駄木」を発行している「谷根千工房」の山崎範子さん(49)は、長野県の祖父母宅で養蚕を手伝った経験から「養蚕は重労働」というイメージを持っていたが、「赤岩ではそれを体験として明るく披露しているのが新鮮だった」と語った。
  同工房の仰木ひろみさん(51)も「都会の人々は、養蚕や古民家からどんどん縁遠くなっている。だからこそ一層輝きが増して見えるのではないか」とつけ加えた。
 特別なものはないけれど、古びた養蚕農家集落には今も昔ながらの生活文化がひっそりと息づく。上州人の心のよりどころであり、都会人があこがれるのどかな山村の持ち味をどう生かしていくのか。赤岩の地域づくりは、始まったばかりだ。
古い養蚕農家が残る赤岩地区   古い養蚕農家が残る赤岩地区
養蚕業の特徴を残す赤岩集落を散策する人たち   「かいこの家」に展示してある養蚕農具に見入る人たち
■主催 群馬県、六合村、赤岩重要伝統的建造物群保存活性化委員会、フィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」推進委員会
■共催 上毛新聞社、谷根千工房、富岡製糸場世界遺産伝道師協会
■後援 群馬県教育委員会、財団法人群馬県蚕糸振興協会、県立日本絹の里、シルクカントリーぐんま連絡協議会、 財団法人群馬県教育振興会、
群馬県ユネスコ連絡協議会、日本放送協会前橋放送局、群馬テレビ株式会社、財団法人文化財建造物保存技術協会
フィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」推進委員会
養蚕・製糸・織物などの歴史遺産を生かした群馬県の地域づくりを構想するため2005年、県内外の有識者8人で発足した。委員長は藤森照信・東大教授(建築史)。事務局は上毛新聞社内。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録運動の一環で、昨年は日仏シンポジウムを開催した。