政府が出資する23の官民ファンドのうち、14ファンドが2023年度末時点で累積赤字を抱えていることが16日、会計検査院の調べで分かった。累積損失額は約954億~3億円で総額1900億円を超える。一部の投資案件では元本の回収も懸念されるとして、検査院は「原因分析を十分に行い、回収額を最大化するために適切な措置を講じる必要がある」と求めた。
第2次安倍政権の成長戦略として設立された官民ファンドだが、多くで十分な収益を上げられていない実態が浮き彫りとなった。資金を回収できなければ、将来的に国民に負担がのしかかる可能性もあり、制度の在り方が改めて問われそうだ。
検査院は国会の要請を受け、18運営法人の23ファンドを調査。官民ファンドは政府と民間が共同出資し、企業などに投融資する。18運営法人に対する政府の出資などは23年度末までの累計で約2兆2592億円。民間からの出資などは累計約9349億円だった。これらを元に運営法人は計1666件の投資案件に約5兆1339億円を出資するなど支援した。
会計検査院=東京・霞が関
官民ファンドの資金の流れ