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応神天皇陵の前方部に巨大石室 90年前発見、旧宮内省が調査

更新日時:2025年5月3日(土) PM 09:27

 宮内庁が応神天皇陵として管理する大阪府羽曳野市の前方後円墳・誉田御廟山古墳(5世紀前半、全長425m)で室戸台風(1934年)の翌年、前方部から巨大な竪穴式石室が見つかり、旧宮内省が調査していたことが3日、同省の未公開報告書などで分かった。宮内庁関係者によると、古墳時代の天皇陵で埋葬施設が公式に調査された唯一の事例。

 ヤマト政権の象徴である前方後円墳の埋葬施設は後円部に造られ、前方部は祭祀の場などと考えられていたが、前方部にも血縁者や政権を支えた有力者らを葬った可能性が浮上。大型の前方後円墳が王1人のための墓ではないことを示し、謎の多い天皇陵の実態を知る貴重な手がかりになる。

 報告書「恵我藻伏岡陵前方部頂上発見石材調査報告」によると、南北約7m、東西約4・5mの範囲で天井石の存在を確認。複数個を並べて石室にふたをしたとみられ、見つかったのはいずれかの天井石の西端という。

 同時代の竪穴式石室で最大級とみられるが、石室の内部は確認せず埋め戻した。石室の真上の土中から、家形などの埴輪片も出土した。

 誉田御廟山古墳(応神天皇陵)。点線内が竪穴式石室の発見場所=4月、大阪府羽曳野市(共同通信社ヘリから)