運転開始から60年を超える原発の稼働を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が6日、全面施行された。原発の運転期間は、東京電力福島第1原発事故を教訓に最長60年に定められたが、岸田前政権が上限を撤廃。原子力規制委員会の審査などで停止した期間を60年に上乗せして延長運転できるようになった。
事故を受け、当時の民主党政権は「原発依存度の低減」を掲げ、2013年施行の改正原子炉等規制法で「原則40年、最長でも60年」となった。しかし岸田前政権は22年、脱炭素実現や、ウクライナ危機を背景としたエネルギー安定供給を理由に「原発の最大限活用」に政策転換した。
GX脱炭素電源法では、規制委の審査や行政指導、裁判所の仮処分命令で停止した期間を60年に上乗せして運転できる。サッカーのロスタイムのような仕組みで、延長期間は経済産業省が審査する。
最初に60年を超えるのは、国内で最も古い1974年11月に運転開始した関西電力高浜1号機(福井県)が有力だ。
関西電力高浜原発。手前左から1号機、2号機、奥左から3号機、4号機=福井県高浜町