喜びに湧く留守家族 1954(昭和29)年9月5日

北京日本語放送は赦免された元日本軍人四百十七名の氏名を明らかにしたが、この中には本県関係十二名が名を連ねている。敗戦九年間、生死を案じ、一るの望みをつないでいた留守家族は喜びに湧いた。

終戦後に中国に抑留、釈放された旧日本軍人の氏名が公表され、「生きて帰ってくるとは夢のよう」などと心待ちにする県内家族を写真入りで伝えている。中には、妻がすでに再婚し離籍調停中という複雑な家庭もあった。釈放者を乗せた引揚船・興安丸は9月27日、京都の舞鶴港に入港。10月1日に本県に到着し、十数年ぶりに古里の地を踏みしめた。