高畠素之氏逝く 1928(昭和3)年12月25日

前橋市出身の評論家高畠素之氏は十一月以來胃癌に穿孔性腹膜炎を併發し本郷駒込千駄木五五の自邸で加療中であつたが廿三日朝病俄に革り同日午後三時半死去した。享年四十三。

高畠素之氏(1886~1928年)は前橋市出身の社会思想家。旧前橋藩士の五男として生まれた。旧制前橋中学在学中に洗礼を受け、同志社大で宗教を学んだが中途退学。08年に高崎市で社会主義雑誌「東北評論」を発行した。同誌の文章が新聞紙条例違反とされ禁錮刑を受け、禁錮中にマルクス「資本論」に出合う。その後、同書を国内で初めて完訳した。